書く力を高めるためのトレーニング法の1つを紹介します。
それは「書写(=文章を書き写すこと)」です。
ぼくは修士課程時代(10年以上前)にそれをよくやりました。
書く力は、がむしゃらに書いているだけでは伸びません。
一部の天才を除いて、ただ単に書きまくるだけでは、全体のリズムがよくならないし、語彙が増えないし、文体も豊かにならないし、論証の精度も向上しません。
何らかのトレーニングが必要で、そのひとつが書写です。
ぼくの場合、書写はパソコンやワープロを使わず、手で書き写しました。
最初、パソコンでやったのですが、どうも身体にしみこむ感じがしない。
そこで、手書きで書写してみたのです。
すると、読書だけではわからない著者の思考やリズム、息づかいなどが体感できるようになりました。
お気に入りの文章を見つけて、ひたすら書き写す。
意味がないように見えるかもしれませんが、書く力を高めるためには役立つ方法のひとつでしょう。
良質な文体が身体を通してストックされるわけですから、たぶん役立たないわけがないw。
どのような文章がよいのかは、さしあたり関心によって変わるとしか言えません。
ぼくは、理論構築するための書く力がほしかったので、例えば池田清彦先生の『構造主義生物学とは何か』『生命の形式』『分類という思想』など、竹田青嗣先生の『現象学入門』『現代思想の冒険』『エロスの世界像』などを好んで書写していました。
書写は、けっこう忍耐がいるので、自身の関心にあった著作を選択するとよいと思います。
また書写を通して、他者の書き方が自分の身体に入り、さらに自身の経験とそれがミックスされることで、自分なりの書き方が徐々に芽生えると思います。
遠回りにみえて、これが書く力を伸ばす練習になったと感じています。
もし書く力を高めたい人がいたら、一度お試しあれ。
ただし手書きだよ、手書き。