効果的な作業療法に求められる実践の4原則

投稿日:2017年6月19日 更新日:

効果的な作業療法に求められる実践の4原則

Willard and Spackman’s Occupational Therapyでは、現代における作業療法には4つの原則があると明記しています。

それは効果的な作業療法を行うために欠かせないものです。

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では、4つの原則ってなにか?

さくっと示すと、以下になります。

  1. クライエント中心の実践
  2. 作業中心の実践
  3. エビデンスに根ざした実践
  4. 文化に適応した実践

以前は1から3のみだったのですが、4が加わっているところに社会文化と作業の関連に対する感度が高くなったことが読み取れますね。

わが国の作業療法士が、効果的に作業療法を行うために4原則の理解が必要だと思うので以下に紹介します。

なお以下はあくまでも要約なので、詳しくは書籍を確認してください。

1.クライエント中心の実践

クライエント中心の実践とは、クライエントと作業療法士が作業療法のプロセスで協働するという意味です。

作業療法の人間観では、クライエントとは重要な日々の活動を達成しようとしている存在であると位置づけています。

また作業療法士には、それが困難な人たちと協力しながら意味のある作業の達成を支援する役割があります。

この役割を果たすために、作業療法士はクライエントの世界観を理解する必要があります。

その方法として、クライエントの過去、現在のナラティブを理解することがあります。
そして、クライエントと作業療法士は、意味ある作業を通して未来のナラティブの理解と創造に取り組んでいきます。

クライエント中心の実践は、クライエントと作業療法士が協働で作業の再構築を行い、満
足できる未来を作りあげることだ、と理解できます。

2.作業中心の実践

作業中心の実践とは、クライエントによって選択された意味のある作業を、馴染みのある環境のもとで遂行できるようにすることです。

作業とは単なる活動ではなく、クライエントが地域、家族、友人とつながり、基本的なニーズを満たす日々の生活を意味しています。

作業中心の実践では、作業への参加を重視しています。

理由は、作業への参加がクライエントのアイデンティティの中心であり、作業を通して自分自身を再構築し、自らの健康とwell-beingの向上に影響を与えることができるからです。

なので、作業中心の実践では、クライエントの作業と優先順位の評価が不可欠です。

作業療法の目標は、クライエントの作業に対する関心に直接関係しています。

また介入方法はクライエントが意味を見出した作業を活かしたものになります。

作業中心の実践は、すべての人間が意味のある作業に参加する権利があるという考え方と深く関わっています。

3.エビデンスに根ざした実践

エビデンスに根ざした実践とは、最新で最良のエビデンスとクライエントの価値観、作業療法士の専門判断を統合しながら作業療法を行うことです。

エビデンスに根ざした実践を行うためには、作業療法士は臨床上の疑問に関連するエビデンスを収集し、批判的吟味する必要があります。

次に、作業療法士は、エビデンスによって推奨される作業療法を、目の前にいるクライエントに活かしていく技術が求められます。

また、作業療法士はクライエントと協働しなければならないので、質の高いエビデンスを使ってクライエントが意志決定できるように、適切にコミュニケーションしなければなりません。

エビデンスに根ざした作業療法で使える資源には、以下のようなものがありますので適宜活用してください。

4.文化に適応した実践

文化に関連する実践とは、文化的、政治的、社会的な違いを考慮した作業療法を行うことです。

作業療法は、世界中に拡散しつつあります。

効果的な作業療法を行うためには、その背景にある社会的、政治的、文化的な違いに配慮する必要があります。

これは国が違うというだけでなく、同一国内でも地域によって文化が異なるので、それに適切に配慮する必要があるという意味です。

作業療法という概念が提唱されたアメリカは個人の自立を重視した文化であり、それに適応した作業療法が発展してきました。

しかし、世界に目を向けると、個人の自立よりも人間関係を重視する文化があり、自立を重視した作業療法をそのまま適応することはできません。

作業療法士は、クライエントと作業療法が文化に埋め込まれた存在であるとしっかり理解し、作業療法が実行される文化に適応した実践を行うべきです。

効果的な作業療法は、クライエントの文化にしっかり適さないと実施できません。

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大事なことなのでもう一度まとめると

効果的な作業療法に求められる4原則は以下の通りです。

  1. クライエント中心の実践
  2. 作業中心の実践
  3. エビデンスに根ざした実践
  4. 文化に適応した実践

自身の理解を確かめるために、以下の問いに答えてみてください。

Q1.クライエント中心の実践とは何か。あなたがいる臨床現場でクライエント中心の実践を行うにはどうしたらよいか。


Q2.作業中心の実践とは何か。あなたが作業中心の実践を行うには、どう工夫したらよいか。


Q3.エビデンスに根ざした実践とは何か。あなたが日々の臨床で、最新で最良のエビデンスを活かすにはどうしたらよいか。


Q4.文化に適応した実践とは何か。あなたの作業療法は、どのような文化から影響を受けているか。

作業療法の効果を引き出し引き延ばすために、4原則の理解を深めてくださいね。

  • この記事を書いた人

Makoto KYOUGOKU

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