本記事では、医学モデル vs 作業モデルの信念対立のはじまりについて論じています。
医学モデルから作業モデルへの批判は1925年から
先行研究を調べると、1925年にはすでに、医学モデルから作業モデルへの批判がはじまっていたことがわかります。
作業療法が誕生してから、わずか8年程度で今も続く信念対立の焔がたちあがったわけです。
背景をもうちょい説明します。
1914年に作業療法という概念が生まれ、1917年に全国作業療法推進協会(NSPOT)が創設され、作業療法がボランティアから専門職業へとシフトします。
1917年は、アメリカが第一次世界大戦に参入した時期で、実はこのとき、当時の作業療法の関係者たちはこぞって作業モデルの医学モデル化を推進したんです。
つまり繰り返しになりますが、作業療法が立ち上がった約8年後には、人間と作業と環境の包括的な視点から生活を支援する作業モデルへの批判がはじまっていたわけです。
そのとき、十分に反論ができればよかったんでしょうけど、1929年には世界恐慌がはじまり、世界中が混乱するなかで、作業療法も約10年にわたって停滞してしまいました。
世界恐慌はほとんどの領域を停滞させたので、こればっかりはどうしようもありません。
作業療法は20世紀最大の世界恐慌を生きぬくと、そのときはすでに還元主義パラダイムの全盛期を迎える準備が整っていました。
その後はご存じの通り、現在までも深刻なダメージを残している有名なアイデンティティの危機に陥ります。
日本に作業療法が導入されたのは、作業療法がもっとも混乱しているときだったので、今でも作業療法って何なのかよくわかっていない人が多いんですね。
ぼくたちの世代でこの呪いは終わらせましょう。