【哲学は武器】作業療法士はモダニズムとポストモダニズムを理解すべき話

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きょうごく
本記事では「作業療法士ですが、モダニズムとポストモダニズムってはじめて聞きました。難しそうな話ですけども、作業療法に必要なんですか?またそれらに根ざした作業療法ってどんなものがあるのですか」という疑問にお答えします。

本記事のポイント

  • 哲学の理解は実践に直結する
  • モダニズム作業療法の特徴、利点、欠点がわかる
  • ポストモダニズム作業療法の特徴、利点、欠点がわかる

この記事を書いているぼくは作業療法士ですが、哲学を武器にいろいろ理論研究してきました。

『構造構成主義研究』という哲学雑誌の副編集長だった時期もあります。

また哲学を武器に信念対立解明アプローチという新領域の開拓にも挑戦しています。

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そんなぼくが、作業療法士向けにモダニズムとポストモダニズムを理解した方がよい理由を解説します。

モダニズムとポストモダニズムの理解で実現できる可能性の未来

結論

作業療法士はクライエントの実生活を改善するために、モダニズム作業療法(医学モデル)とポストモダニズム作業療法(作業モデル)を統合する必要があり、モダニズムとポストモダニズムの理解はその第一歩になる

作業療法は実践の学ですから、もっとも大切なのはクライエントの実生活が少しでもより良くなるように変えることです。

なので、難しい理屈よりも「望まれる結果がでるかどうか」が一番大切です。

この点は強調してもし過ぎることはありません。

他方、作業療法は理屈の混乱によって、実践が歪められてきた領域でもあります。

典型例の1つが「科学をめぐる信念対立」です。

この問題はモダニズムとポストモダニズムの対立という構造を背景にもちます。

そして、科学をめぐる信念対立は、望まれる結果をもたらす方法ではなく、特定のイデオロギーに適った方法を活用する弊害をもたらします。

つまり、理屈の混乱は実践の学としての作業療法という立場を危うくするわけです。

それによって、迷惑をこうむるのは他ならぬクライエント自身です。

モダニズムとポストモダニズムの対立という問題性は2018年に公表された以下の文献にも詳しく書かれています。

>>Postmodernism and beyond in occupational therapy

上記の研究論文でも指摘されているように、作業療法士はクライエントの実生活を改善するために、モダニズム根ざした作業療法(医学モデル)とポストモダニズムに根ざした作業療法(作業モデル)を統合する必要があります。

その可能性の未来を拓くには、モダニズムとポストモダニズムの理解が欠かせません。

作業療法士は、クライエントの実生活を改善するために、ちょっとばっかし難しい理屈を理解する必要があるのです。

モダニズムと作業療法

モダニズム作業療法=医学モデルは、作業機能障害よりも心身機能障害の改善に焦点を当てます。

これは、人間の全体性に着目し、人間性と実生活の再建に取り組んだ初期の素朴な作業療法に対する挑戦として立ち現れました。

モダニズム作業療法は初期の作業療法の科学化を促進し、生物医学的枠組のなかで作業療法を再定義していきました。

その結果として、症状(心身機能障害)の改善に特化した実践が豊かになりました。

例えば、クライエントの抑うつ状態の改善を促進するために段階づけた作業を提供する、という方法はこの時期に発展しました。

反面、人間の生物医学的な側面に過度に着目するあまり、人間性と実生活の再建という元来のモチーフがないがしろにされました。

例えば、クライエントは職場復帰を望んでいるのに、作業療法士はクライエントの関節可動域の改善を目標にアプローチする、というのは医学モデルの弊害の一つです。

その反省から登場するのが、ポストモダニズム作業療法=作業モデルです。

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ポストモダニズムと作業療法

ポストモダニズム作業療法は人間の全体性に着目し、人間の人間性と実生活の再建を促進するために作業に根ざした実践を行うものです。

つまり、これは心身機能障害の改善に偏重した医学モデルを是正し、クライエントの実生活上の問題である作業機能障害の改善に焦点を当てます。

わかりやすく言えば、作業モデルは作業ができる or 作業に関われる状態を目指して支援を行うわけです。

例えばこれは、クライエントが価値を見いだした作業によりそって生活を豊かにしていく、という実践ををもたらします。

他方、作業モデルは初期の作業療法を現代化し、かつ医学モデルを組みこむという方向性で進んだものの、モダニズムとポストモダニズムのメタレベルの対立を克服する術をもたなかったので、医学モデルに対する嫌悪感を生みだすことになりました。

例えば、急性期で症状の改善が第1に優先されるときでも、症状にアプローチすることに対してジレンマを感じさせ、無理に作業に焦点化したアプローチを行うことによってイザコザを生みだす、というのはポストモダニズムに根ざした作業療法の弊害の一種です。

そうした問題を克服するために、モダニズムとポストモダニズムの対立を克服した作業療法の可能性が検討されはじめているわけです。

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まとめ

本記事では「作業療法士ですが、モダニズムとポストモダニズムってはじめて聞きました。難しそうな話ですけども、作業療法に必要なんですか?またそれらに根ざした作業療法ってどんなものがあるのですか」という疑問にお答えしました。

ぼくたちが開発しているOBP2.0はモダニズム作業療法とポストモダニズム作業療法を統合する試みの一種です。

これからの作業療法を思案する人はぜひこうした動向を理解しておきましょう。

なお、モダニズムとポストモダニズムの理解はなかなかやっかいでして、その理由はこれらが単一の哲学で構成されておらず、複数の哲学的潮流によって動的に構成されているところにあります。

その辺については、上記で紹介した資料で詳しく解説していますので、関心がある人はぜひどうぞです。

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