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作業療法
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作業に根ざした作業療法を実践するべき5つの理由

京極真
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京極真
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本記事では「作業療法士は作業に根ざした実践を行う必要がある、、、という話をよく耳にするようになりました。なぜ作業に根ざした実践が推奨されているのですか」という疑問にお答えします

こんな方におすすめ
  • 作業に根ざした実践が推奨される理由が知りたい
  • できれば文献も教えてほしい

作業療法士ならば、評価と介入で作業を使うのは当たり前、、、と思う人がいるかもしれません。

けど、実際にはそうなってこなかった歴史があります。

そのあたりの実情は以下の書籍で詳しいです。

  • 作業療法実践の理論
  • 作業療法の視点
  • 続・作業療法の視点

絶版になっているものもありますので、中古で出品されたら即購入したほうがいいです。

それぐらい重要文献です。

さて、現代は作業を使わなかった反省から、作業に根ざした作業療法の実践の必要性が強調されています。

それが強調される主な理由は以下の通り。

理由
  • 理由①:作業には健康状態と幸福感を改善する
  • 理由②:作業は再入院率を改善する
  • 理由③:作業は費用対効果を改善する
  • 理由④:作業は全体的な理解をもたらす
  • 理由⑤:作業を通したアプローチは作業療法士の存在理由である

本記事では、それぞれ解説します。

作業に根ざした作業療法を実践するべき理由①:作業は健康状態と幸福感を改善する

作業に根ざした実践が推奨される理由

作業が健康状態と幸福感を改善することが示唆されているから

作業療法が誕生してから100年以上経過していますが、その間さまざまな研究が実施されてきました。

その質にはバラツキがあるものの、作業に根ざした作業療法が対象者の健康と幸福を改善する可能性を示しています。

その一部を示すと以下の通り。

現代作業療法において、エビデンスに基づいた実践は不可欠です。

作業に根ざした作業療法はいろんな研究が蓄積されつつあります。

対象者には現時点で最良で最新の治療を受ける権利がありますから、作業に根ざした実践が求められると言えるでしょう。

作業に根ざした作業療法を実践するべき理由②:作業は再入院率を改善する

作業に根ざした実践が推奨される理由

作業は再入院率を改善するから

作業に根ざした実践は再入院率を改善する可能性があります。

作業に根ざした実践は、対象者が安全な生活に適応できることに関わっていると考えられます。

例えば以下の研究があります。

この研究では、対象者が日常生活を安全に行えるよう対象者と介護者の作業遂行を支援し、安全評価、環境調整なども行っています。

作業に根ざした作業療法は退院後の持続可能な生活に役立つ可能性があるわけです。

作業に根ざした作業療法を実践するべき理由③:作業は費用対効果を改善する

作業に根ざした実践が推奨される理由

作業が費用対効果を改善する可能性があるから

作業に根ざした実践は費用対効果を改善する可能性ありです。

いくつかの研究がそれを示唆しています。

一例を示すと以下の通り。

医療費は高騰する一方なので、社会から費用対効果が高いアプローチが求められています。

作業に根ざした実践はそうした社会的ニーズにも応えられる可能性があります。

作業に根ざした作業療法を実践するべき理由④:作業は全体的な理解をもたらす

作業に根ざした実践が推奨される理由

作業は全体的な理解をもたらすから

作業に根ざした実践は、対象者の全体的な理解をもたらします。

その利点は、対象者とよりよい関係を築き、健康状態のよりよい理解をもたらし、満足度の高い作業療法を提供できるところにあります。

作業に根ざした実践が全体的理解を促進する理由は、作業を使うには疾患・障害などの医学的情報に加えて、対象者の動機、興味、価値、習慣、役割、技能、環境、時間の使い方などについて把握する必要があるからです。

詳しく知りたい人は以下のサイトに示された文献リストを読みましょう。

作業がもたらす全体的理解とその利点の意味がよくわかると思います。

作業に根ざした作業療法を実践するべき理由⑤:作業を通したアプローチは作業療法士の存在理由である

作業に根ざした実践が推奨される理由

作業を通したアプローチは作業療法士の存在理由だから

作業療法は100年ちょい前に誕生しましたが、その理由は作業を通して健康と幸福を改善する専門職が必要だったからです。

しかも、作業療法の名付け親は障害をもつ当事者であり、彼は作業療法の実践家でもありました。

当事者自らが、作業を通して健康と幸福を改善する必要性に迫られて、この領域を創出したわけです。

ぼくら作業療法士はその末裔です。

したがって、作業を通して健康と幸福を改善するために、作業療法士は独自の目的、方法、知識、技能をもつ必要があります。

以下は、作業療法の名付け親である障害をもつ当事者が書いた作業療法の教科書です。

この領域を創出した人が、何を考えていたかを知りたい人は必ず読みましょう。

まとめ:作業に根ざした作業療法を実践するべき5つの理由

本記事では「作業療法士は作業に根ざした実践を行う必要がある、、、という話をよく耳にするようになりました。なぜ作業に根ざした実践が推奨されているのですか」という疑問にお答えしました。

結論は以下の通りです。

理由
  • 理由①:作業には健康状態と幸福感を改善する
  • 理由②:作業は再入院率を改善する
  • 理由③:作業は費用対効果を改善する
  • 理由④:作業は全体的な理解をもたらす
  • 理由⑤:作業を通したアプローチは作業療法士の存在理由である

作業療法士の皆さんは評価と介入で作業を使いましょう!

また、作業に根ざした研究のできる大学院に興味のある方は以下の記事を参考にしてください。

著者紹介
京極 真
1976年大阪府生まれ。Ph.D、OT。Thriver Project代表。吉備国際大学ならびに同大学大学院・教授。作業療法学科長、保健科学研究科長、(通信制)保健科学研究科長。首都大学東京大学院人間健康科学研究科博士後期課程・終了。『医療関係者のための信念対立解明アプローチ』『作業療法リーズニングの教科書』『作業で創るエビデンス』など著書・論文多数。
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