作業に根ざした実践(OBP)と介入の臨床推論は、どのようなフレームワークでとらえたら良いでしょうか。
先日、信念対立解明アプローチのワークショップで歯科医師の先生からプロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)という分析枠組を教えていただきました。
有益なご助言、本当にありがとうございます!
その後、いろいろ調べると、これは作業療法でも使える便利なツールだと感じました。
で、PPMを参考にOBPの臨床推論を図式化してみました。
以下のフレームワークは、理解しやすい視点を作るという関心のもとでプラグマティックに組んでいるだけなので、厳密なものではありませんから各自で使いやすいように工夫してみてください。
PPMはY軸とX軸に何をとるかによってフレームワークを変えることができるので、今回はY軸に「意味を感じる作業」、X軸に「できる/できない」「関与できる/関与できない」を設定しました。
意味を感じる作業とは、クライエントが興味をもったり、価値を見いだしたり、有能感を味わったり、幸福感を体験しうるような諸活動(仕事、遊び、日課、休息)です。
できる/できないとは、意味を感じる作業が実際に実行しうるかどうかです。
関与できる/関与できないとは、意味を感じる作業に関われるかどうかです。
これらの組合せで介入を整理すると、以下のような図式化ができるだろうと思いました。
理解を促進するために、思いきって単純化しているので、状況と目的にあわせて適宜解釈を調整してください。
まず、クライエントが「意味を感じる作業」であるにもかかわらず、現にそれが「できない」ならば積極的に介入する必要があるとリーズニングできる可能性があるでしょう。
したい/する必要があるのに、できていないわけですから、そう臨床推論できるはずです。
他方、「意味を感じる作業」であり、かつ「できる」のであれば、より良くできるように拡大的に介入していくという視点をもつと良いかもしれません。
また、「意味を感じない作業」であり、かつ「できる」のであれば、できる状態を維持できるように支援していくとよいでしょう。
逆に、「意味を感じない作業」であり、かつ実際に「できない」のであるならば、介入は一旦保留という判断が成立する可能性があります。
「関与できる」「関与できない」という軸をとっても、同様の解釈ができるはずです。