作業療法士が作業療法で失敗しないための1つの方法【仕事内容や役割の見える化がポイントです】

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きょうごく
本記事では先行研究を紹介しながら「作業療法士が作業療法で失敗しないためにはどうしたらよいの?」という疑問に答えます

本記事のポイント

  • 作業療法士が作業療法で失敗しないために「見える化」しましょう
  • その1つの方法として作業機能障害に関連づけるというものがありますよ

作業療法の社会的視点

作業療法士は作業療法の専門家なので、きちんと作業療法を行える必要があります。

それを実現するためには、社会に対する作業療法の視点を理解する必要があります。

その点について、Townsend先生は Occupational therapy's social vision という論文で明確に論じています。

本論の最大のポイントは、クライエント中心の作業療法の特徴が、社会的公正の特徴と同型であると明らかにし、作業療法の特徴のひとつに位置づけた点にあります。

彼女によると、作業療法の特徴は次の通りです。

ポイント

  1. 作業療法は多様な人と状況に対応する
  2. 作業療法の多様性は作業療法哲学を実質化したものである
  3. 作業療法の核は作業と可能化(enabling)である
  4. 作業療法士の行動のなかに作業療法の核が包摂されている
  5. 作業療法は文脈(状況・環境)によって制約される
  6. 作業療法の理想は社会的公正の実現である

作業療法において特徴6が新しい提案であり、ここから作業的公正と作業権という議論につながるわけです。

本論は社会的視点からの批判的分析を通して作業療法の展望を明瞭に示しています。

本論によると作業療法の社会的視点は次の通りです。

ポイント

  1. 人々は世界の中で行動するチカラをもっている
  2. 人々は相互依存している
  3. 人々は協働するチカラがある
  4. 社会的公正は実世界の行動と内省を通して現実になる
  5. 社会的公正は現実化するため、目標だけでなく変化のプロセスである
  6. 社会的公正は人間には平等な価値があるという認識と実践である

このように本論は、作業療法の社会的視点は社会的公正を包摂しており、社会的公正が作業療法の基礎のひとつである、という展望をもたらしているのです。

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作業療法士が作業療法で失敗しないための1つの方法

作業療法を可視化する

上記の論文では、作業療法の理想である社会的公正(※現在は作業的公正あるいは作業権)を実現するためには、作業療法のエッセンスを可視化することが重要である、と指摘されています。

医学モデルが強すぎるところでは、日々の業務のなかに作業に根ざした実践を取り込むのが困難です。

作業療法の理想を実現するには、急性期でも回復期でも維持期でも終末期でも「作業遂行上の変化」に価値を見いだし、実現していくことが求められます。

どの期でも作業療法は作業療法だという理解が欠かせません。

しかし、医学モデルに過度に偏重したところでは、作業遂行上の変化に価値を見いだしてもらえず、作業療法士の行動が制約されることになり、作業療法の社会的視点を実質化することが困難になります。

そこで、本論で提案されている対策のひとつが、作業療法の意味が周囲の人々にも了解されやすくするために作業療法を可視化(visualization)しましょう、というものになります。

これは、チーム医療・多職種連携でも同じです。

いろんな立場の人がいるので、作業療法のエッセンスが皆にいさかいなく見えるようにする必要があります。

作業療法の評価と介入は作業機能障害に関連づける

作業療法の可視化の例として、作業機能障害に関連付けるというやり方が示されています。

例えば、「脊髄損傷」をもつクライエントを対象に作業療法する場合、作業療法士は脊髄損傷そのものにアプローチしているわけではありません。

作業療法士が作業療法を実践する限りにおいて、作業療法士は「脊髄損傷に関連する作業機能障害の評価と介入」を行っているのです。

本論では、作業療法を可視化するためにそれを明確に表現しましょう、と提案しているのです。

理解を促進するために別の例を挙げると、次のように表現しようと提案しています。

ポイント

  • 「ハンドセラピー」は「手・上肢の損傷に関連する作業機能障害の評価と介入
  • 「精神障害」は「精神障害に関連する作業機能障害の評価と介入
  • 「発達障害」は「発達障害に関連する作業機能障害の評価と介入

そうすることによって、医学モデルに過剰によった領域でも、作業療法の理想を共有しやすくなるでしょう、というのです。

作業療法士が作業療法を実行するために、自分たちが普段何気なく使用している概念を、作業機能障害に関連付ける習慣を身につけたいですね。

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まとめ

本記事では先行研究を紹介しながら「作業療法士が作業療法で失敗しないためにはどうしたらよいの?」という疑問に対して、1つの方法をご紹介しました。

そのポイントは作業療法の見える化です。

ぜひ皆さんの職場に応じて適切な見える化を行ってみてください。

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