身体と作業、そして理学療法と作業療法の違い

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本記事では「原理的に考えると、理学療法と作業療法ってどう違うの?」という疑問にお答えします。

本記事のポイント

  • 理学療法は医学、作業療法は哲学を設計図にしてはじまっています
  • 理学療法は身体(身体機能と身体機能障害)、作業療法は作業(作業機能と作業機能障害)へのアプローチを軸にしています

原理を構築する条件

現在、うちの大学院生とともに理学療法の原理の研究開発に取り組んでいます。

ぼくは作業療法士ですが、この研究を通して理学療法という領域の魅力に改めて気づきました。

原理とは、特定の関心のもとで論理的に考える限りにおいて共通了解できる可能性を担保した理路です。

つまり、哲学的思考によって強靱な考え方を作るわけです。

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原理を構築する最低限の条件は、①徹底的に疑っても疑いきれない底板を取り出すこと、②何でもアリの状態に陥らないこと、です。

つまり、原理は外部実在(本体、根本仮説)にディペンドするような論理構造にしない(①)。

例えば、理学療法の原理の一番の勘所は「身体」を基礎づける部分にあるわけですが、このとき身体が存在しているということを議論の始発点にしてはいけません。

それやっちゃうと、独我論的な理路になってしまい、おおよそあらゆる身体に通底する理路=原理を構築できなくなってしまうからです。

他方、何でもアリの状態=懐疑論=相対主義に組みするような論理構造にもしない(②)。

例えば、身体って解剖学的にも、生理学的にも、運動学的、哲学的にも説明できるから、何をもって妥当な身体論といえるかは誰にもわからない、それを考え続けることだけができるのだ、というような議論してはいけません。

こういう論法になると、理学療法の原理の挫折と敗北に突き進むしかないからです。

原理論を構築するときは、すごーく小さな針の穴に糸を通すようにしながら理路を紡いでいく必要があるのです。

身体と作業は両方ともめっちゃ大事

ざっくりいうと、身体と作業は、人間にとってどちらも絶対に欠かすことができないと感じられるものです。

身体はまず「ここにあるは疑いえない」という感度のもとで成立しており、そしてそれ抜きでは自身が存在することは不可能である、と疑いなく感じられることです。

なので、身体について関心を向けると、人間はこれがないと生きられないと強く確信し、絶対に欠かせないと感じちゃうわけです。

次に作業です。

これは生活行為とか仕事・遊び・日課・休息などと説明されていますが、最も本質的な言い当ては「人間の経験」というものです。

作業を生活行為と呼ぶか、仕事・遊び・日課・休息などに分類するか、は経験の名づけ方の違いだけであって、その逆はどうあがいてもありえないからです。

つまり、人間の経験という言い方が、作業の理路の底板を形成しているのです。

作業=経験は「生の実感」として成立していますから、それ抜きでは人間が生きていると確信することはできません。

作業について関心を向けると、生きている人間は経験からまったく接点をもたないということは不可能であると強く確信し、作業は人間にとって欠かせないと感じてしまうわけです。

身体と作業、そして理学療法と作業療法

理学療法と作業療法はルーツがまったく異なります。

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理学療法は医学、作業療法は哲学を設計図にしてはじまっています。

また理学療法と作業療法はターゲットにする事象がまったく異なります。

両者は疾患別プロトコルを共通のフレームにしつつも、理学療法が身体(身体機能と身体機能障害)、作業療法が作業(作業機能と作業機能障害)へのアプローチを軸にしているからです。

疾患別プロトコルに関心をむけると理学療法と作業療法の類似性が目立ちますが、主軸に関心を向けると独創性が明瞭になります。

人間の特徴は多様性であり、身体も作業もどちらも絶対に必要です。

リハビリテーションに関わる人(患者、家族、医師、看護師、作業療法士、理学療法士、言語聴覚士など)は、理学療法と作業療法の共通点と相違点を強く深く理解し、両者の可能性を引きだし引き延ばしていきましょう。

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まとめ

本記事では「原理的に考えると、理学療法と作業療法ってどう違うの?」という疑問にお答えしました。

両者の専門性はかなり違います。

それをしっかり理解したうえで、その効果を引き出し引き伸ばしましょう。

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