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資本主義の意味は歴史を見ると理解できる【書籍も厳選紹介】

京極真
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本記事では「資本主義ってなんですか。どんな意味があるのですか」という疑問にお答えします

本記事を書いているぼくは作業療法が専門でして、これは資本主義を生みだした産業革命に対する反動形成で生まれました。

作業療法の原理はプラグマティズムで、それを軸に道徳療法、アーツ&クラフツ運動がドッキングされています。

作業療法士は医療専門職なのですが、こうしてみると哲学的実践論だと言えます。

本記事では作業療法を専門にするぼくが、作業療法誕生のトリガーになった資本主義の意味について歴史を紐解きながらさくっと解説します。

なお、資本主義を学べる本については以下の記事で解説しているので、そちらもあわせてご覧ください。

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資本主義の意味は歴史を見ると理解できる

資本主義は自由競争=機会平等

わかりやすくいう言うと、資本主義は自由に競争することによって利益の最大化を追求する社会システムです。

資本主義の自由競争は機会平等と言います。

つまり、スタートラインには誰でも立てて、その後は各自で競争して利益追求してください、という仕組みです。

ところが、資本主義はr > gというルールがあって、機会平等を前提にしているくせにぜんぜん機会平等になっていない、という根本矛盾があります。

それが世界的に大問題になっているわけですが、そもそも資本主義はなぜ自由競争という仕組みになったのでしょうか。

資本主義に至るまでの歴史

その意味を理解するには、資本主義に至るまでの歴史の理解が欠かせません。

大きなアウトラインを示すと以下の通りです。

  • 封建主義(5世紀から15世紀)
  • 重商主義(16世紀から18世紀)
  • 資本主義(18世紀の産業革命以降〜)

これは超簡単に描いたアウトラインなので、詳しく知りたい人は本記事の後半に紹介する名著を必ずお読みください。

では、それぞれ超ざっくりと解説していきます。

資本主義の歴史

封建主義(5世紀から15世紀)

封建主義はもっとも長い経済活動です。

封建主義というと「古い」というイメージかもですが、そもそもこれは資本主義以前の経済システムを意味しています。

その仕組みは、領主とその家来がその土地に暮らす人びとを統治し、経済活動は農業が中心であり、収穫から一定の年貢を徴収することで成り立っていました。

でも、十字軍の遠征がきっかけで、貨幣経済が導入されるようになります。

この戦争は経済圏の拡大をもたらしたため、物々交換の年貢経済では非効率という問題を生みだし、結果として効率良く交換できる貨幣経済が発展していったのです。

これが資本主義へとつながる下地になります。

ところが、領主とその家来は戦争によって没落し、封建制の再編が進み、王が台頭していきます。

重商主義(16世紀から18世紀)

王による統治は「絶対王政」というかたちをとりました。

絶対王政とは、常備軍と官僚制によって王に圧倒的な権力を集中させる仕組みです。

絶対王政で採用された経済活動は重商主義と呼び、これは王の権力を最大限活用したものです。

重商主義は重金主義→貿易差額主義へと展開しましたが、基本的な考え方は貴金属や貨幣の備蓄が国を豊かにするというものでした。

重金主義はその名の通り、貴金属の備蓄を目指す経済政策ですが、資源に限りがあるので上手くいかず、貿易差額主義に移行しました。

貿易差額主義は貨幣の備蓄を目指す経済政策でして、絶対的な権力をもつ王に認められた一部の特許会社が貿易を有利に進めていきました。

けど、重商主義は王に利益を搾り取られる保護貿易であり、経済の発展によって資本家が台頭するにしたがって、自由競争による経済活動である資本主義が求められるようになりました。

また、市民革命による絶対王政の崩壊や産業革命も重商主義から資本主義の台頭へと後押ししました。

資本主義(18世紀の産業革命以降〜)

資本主義誕生の下地を用意した重商主義は保護経済です。

これは、王の絶対権力による統制下で実施されるゲームでした。

他方、重商主義に対する反動形成で誕生した資本主義は自由経済です。

資本主義の考え方はそれ以前のずっと前からありましたが、この世界のルールとして台頭しはじめたのは産業革命前後からです。

資本主義はスタート時点においては原則平等であり、そこから自由競争によって各自が利益を上げていけるゲームである、というわけです。

ところが、資本主義には根本矛盾があって、自由競争によって格差がどんどん広がり、実のところスタート時点における原則平等はフィクションに過ぎないことがわかってきました。

これは、ピケティのいうr > gという法則によって表されているのもです。

資本主義では弱肉強食の世界を育むばかりであり、一度開いた格差を埋めることができないわけです。

そこで、資本主義を克服するために社会主義、共産主義が提案されましたが、ソ連などの壮大な社会実験によって上手くいかないことがわかりました。

かといって、かつての封建主義、重商主義も使い物になりません。

結局、人類は、根本矛盾があって欠陥だらけの資本主義で四苦八苦しているけども、今のところこれに変わるルールをもっていないという現状におかれているわけです。

資本主義を越えるルール作りが、人類に課せられた最大の課題の1つであると言えるでしょう。

資本主義の歴史を学べるおすすめ本

資本主義の歴史を学びたい人は以下の本がおすすめです。

おすすめ本
  • 資本主義の歴史
  • 資本主義の思想史
  • なぜヨーロッパで資本主義が生まれたか

資本主義の歴史

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人文書院
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人類史的視点から資本主義通史を詳解した本です。

経済哲学の変遷を追いつつ、今後の展望まで学べます。

資本主義に興味がある人は必読です。

資本主義の思想史

資本主義の学説を丹念に追いながら、資本主義の捉え方を明らかにしていく本です。

本書で取り上げている学説

ボルテール、アダム・スミス、ユストゥス・メーザー、エドマンド・バーク、ヘーゲル、カール・マルクス、マシュー・アーノルド、マックス・ウェーバー,ゲオルク・ジンメル,ヴェルナー・ゾンバルト、ルカーチ・ジェルジ、ハンス・フライヤー、ヨゼフ・シュンペーター、ジョン・メイナード・ケインズ、ヘルベルト・マルクーゼなど

資本主義の歴史を理解するなら読むべしです。

なぜヨーロッパで資本主義が生まれたか

資本主義のルーツをプラトンまで遡り、この哲学がいかにして発展していったのかを紐解く本です。

資本主義の意味を問い直し、歴史に位置づけるには、本書を必ず読むべしです。

名著。

まとめ:資本主義の意味は歴史を見ると理解できる

本記事では「資本主義ってなんですか。どんな意味があるのですか」という疑問にお答えしました。

資本主義の意味を理解するには、そこに至るまでの歴史の理解が欠かせません。

資本主義の攻略は人生をより良く過ごすために不可欠なので、根っこからしっかり理解していくようにしましょう。

著者紹介
京極 真
1976年大阪府生まれ。Ph.D、OT。Thriver Project代表。吉備国際大学ならびに同大学大学院・教授。作業療法学科長、保健科学研究科長、(通信制)保健科学研究科長。首都大学東京大学院人間健康科学研究科博士後期課程・終了。『医療関係者のための信念対立解明アプローチ』『作業療法リーズニングの教科書』『作業で創るエビデンス』など著書・論文多数。
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