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学会発表の質疑応答で失敗を避ける10のコツ【研究者が語る】

京極真
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本記事では「学会で発表しますが、質疑応答が苦手です。失敗を避けるにはどうしたらよいですか?」という疑問にお答えします。

本記事のポイント
  • 学会発表の質疑応答で失敗を避けるには〇〇や□□を着実に実行しましょう
  • コツに難しいことは特にないので、後はやるかやらないかですよ

この記事の信頼性

この記事を書いているぼくは、これまで数え切れないぐらい学術集会で研究を発表しています。

ここ8年ぐらいは、博士前期課程、博士後期課程に在籍する大学院生・修了生にも学会発表の方法を教えています。

また、臨床で働きながら研究に取り組む方々の研究支援もやってきました。

その過程を通して、学会発表の質疑応答で失敗を避けるコツがあるとわかってきました。

本記事は、そういう経験からワザを構造化したものになります。

学会発表の質疑応答でよくある失敗

いろんな失敗があると思いますが、よくあるのは次のような感じです。

よくある失敗
  • 質問に答えられない
  • 端的に答えられない
  • 質疑がかみあわない
  • 誤解にアタフタする
  • 時間内に適切に答えられない
  • 過剰防衛する

こうなると、せっかく研究の科学的妥当性を吟味し、新たな展開につながるはずの質疑応答が無駄になりかねません。

なので、質疑応答で失敗を避けるコツを理解しておく必要があります。

学会発表の質疑応答で失敗を避ける10のコツ

コツ1:自身が発表する研究内容を理解する

質疑応答で失敗しないためには、兎にも角にも、自分が発表する研究内容をきちんと理解しておく必要があります。

学会発表する前に、背景、目的、方法、結果、考察、限界、今後の展望を首尾一貫したかたちで明解に把握しておきましょう。

研究内容を理解するためには、学会発表前に予演会したり、適切な研究者から研究指導を受けたりするとよいです。

もちろん、すでに博士号を取得している人は、自らの能力で研究内容の理解を深めるとよいです。

コツ2:事前準備として質疑応答100本ノックを行う

次に、研究の理解を多角的に深めるために、ぼくは大学院生・修了生に対して、自身の研究について質疑応答100本ノックを行うように求めています。

これは、自らの研究を振り返り、考えつく限りの質問を列挙し、それに解答していくという方法です。

自分でさまざまな角度から深く掘っていけるので、実際これをやる人は質疑応答の底力が向上しています。

これをやると、質疑応答に強くなるので、失敗を避けることができます。

コツ3:体調を整える

本番にむけて体調を整えることも重要です。

ときどき、翌日に発表があるのに、前の日に飲み過ぎてしまい、二日酔いのまま発表し、質疑応答がぐだぐだになる人がいます。

これは、発表者にとっても、質問者にとっても時間の無駄です。

また、体調が整わず、質疑応答中に倒れた人もいます。

なので、発表の前の日にお祭り気分で飲み過ぎたりせず、きちんと体調を整えましょう。

コツ4:ほどほどに自信をもつ

質疑応答で失敗しがちな人は、過度に緊張してしまい、的確に反応できていないことがあります。

過度な緊張は、過剰に自信がないことに由来していることが多いです。

他方、過剰な自信も見苦しいです。

なので、質疑応答で失敗しないために、ほどほどの自信をもつようにしましょう。

この「ほどほどの自信」は、コツ1、コツ2、コツ3を行えばおのずともてるものですよ。

コツ5:質問内容を理解する

実際の質疑応答場面でもいくつかコツがあります。

その1つは、質問者が質問している内容を適切に理解することです。

相手が何をいっているのかわからないと、まともに質疑応答できません。

なので、相手が何を言っているのかをしっかり理解するようにしてください。

では、どうすれば質問内容を理解できるかというと、相手が質問している内容を正確に受け取ることと、質問の文脈を考えながら聞くこと、などがあります。

とにかく、正確に聞き取り、その質問が生じた背景の文脈を瞬時に読み解きましょう。

コツ6:質問者の関心・意図を把握する

背景の文脈を読み解くときに、質問者の関心・意図を把握することがとても役立ちます。

「質問の目的は何か?」「何を意図して、このような質問をしているのか?」を瞬時に判断します。

そのうえで、質問内容と関心・意図の両方を押さえたうえで解答するようにするのです。

それによって、かみあった質疑ができるので、質疑応答で失敗しにくくなります。

コツ7:端的に答える

質問に対する解答は、可能な限り簡潔明瞭にしてください。

だらだら答えていると、何を答えているのかわからず、質疑応答がうまくいかなかったイメージを増強します。

なので、できるだけスパッと一言で解答していくようします。

端的な解答は、コツ2をしっかりやっていれば、おのずとできることです。

「一言で答えるなんて無理」と感じる人は、質疑応答100本ノックを徹底的にやってください。

コツ8:質問者が誤解していると感じたら、発表の目的を伝えたうえで、要点を端的に説明する

ときどき、「質問者は発表内容を誤解している」と感じる質問を受けることがあります。

その場合、「あなたは誤解している」というと喧嘩になるので、研究発表の目的を改めて説明し、研究のポイントを端的に説明し、暗に誤解していると伝えたうえでさらなる質問の機会を提供するとよいです。

誤解は発表者が研究を明確に伝えられなかったために生じているかもしれず、それを解くために改めて研究の趣旨を伝えるのです。

それでも話がかみあわなかったら、終わってからチャンスがあるようなら改めてやりとりするとよいでしょう。

コツ9:過剰防衛しない

発表者の中には、質問を攻撃とうけとめて過剰に反論する人がいます。

でも、ほとんどの質問は攻撃を意図していません。

「カドがある質問だなぁ」と感じても、相手にはその意図はないかもなので、とりあえずスルーしたらよいです。

そのうえで、質問の内容に対して真摯に答えるようにしましょう。

もちろん、なかには本当に攻撃を意図した質問もあるので、そのときはきっちり反論したらよいです。

その見極めは、明らかな敵意を感じるか否かという本能的なレベルになるので、たぶん簡単に選別できます。

コツ10:わからないときは「わからない」と素直に認めて教えを請う

学会発表は新しい知見に対する科学的妥当性を吟味する場です。

ときに、どれほど準備しても、自分よりも知性のある人に最高の質問を受けて、ぜんぜんわからないこともあります。

そういときは、素直に「わからない」と認めて、教えを請えばよいです。

知ったかぶりしたり、ごまかしたりせず、勉強したらよいのです。

まとめ

記事では「学会で発表しますが、質疑応答が苦手です。失敗を避けるにはどうしたらよいですか?」という疑問に対して、学会発表の質疑応答で失敗を避ける10のコツを解説しました。

皆さんの質疑応答がうまくいくヒントになればうれしいです。

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著者紹介
京極 真
1976年大阪府生まれ。Ph.D、OT。Thriver Project代表。吉備国際大学ならびに同大学大学院・教授。作業療法学科長、保健科学研究科長、(通信制)保健科学研究科長。首都大学東京大学院人間健康科学研究科博士後期課程・終了。『医療関係者のための信念対立解明アプローチ』『作業療法リーズニングの教科書』『作業で創るエビデンス』など著書・論文多数。
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