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作業機能障害と作業的不公正の違い【種類は共有。しかし次元が違います】

Makoto KYOUGOKU
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京極真
京極真

本記事では「作業機能障害と作業的不公正ってどう違うの?」という疑問にお答えします

本記事のポイント
  • 作業機能障害は健康問題、作業的不公正は権利問題です
  • しかし、その種類は共有しています

作業機能障害と作業的不公正は文脈が違います

結論から言うと、両概念は背景にある文脈が異なると理解するとよいです。

両概念はともに、作業剥奪、作業疎外、作業周縁化、作業不均衡などといった作業問題を下位概念に含みます。

それゆえ、作業機能障害と作業的不公正の異同を把握しにくいです。

でもいろいろ文献を読むと、人間経験(=作業)における問題が、健康に関する場合に作業機能障害、権利に関する場合に作業的不公正という概念が使用されていることに気づきます。

作業療法の役割は、健康状態の改善から人権の擁護まで幅広く含みます。

それゆえ、作業機能障害と作業的不公正は、文脈にあわせて使いわけることで意味を伝えやすくできます。

人間作業モデルにおける展開:作業機能障害の萌芽と発展

作業機能障害という概念は、もともと人間作業モデル(MOHO)で発展してきました。

第2版までのMOHOは、作業機能障害に対する評価と介入というポジションを明瞭にしていました。

第3版からは、これが作業適応という概念に置きかわります。

第2版と第3版の間に、作業療法と障害学(Disability Studies)をどう接続するかというテーマが浮上しています。

これはMOHOの成書に加えて、AJOTや他の書籍をあわせて読むと理解できます。

個人の健康問題を表す作業機能障害という概念が、それに対するアンチテーゼという力動を持つ障害学とうまくおりあわず、作業適応という概念が導入されたと理解できます。

日本国内では今でも、MOHOで作業機能障害が使用されていますが、これは日本独自の展開です。

ぼくは、作業療法の役割を明瞭にするために、作業機能障害という概念を使用することは妥当な戦略だと考えています。

作業科学における展開:作業機能障害と作業的不公正

他方、作業科学はMOHOで作業機能障害という概念が使用されなくなった後も、この概念が健康問題という文脈で使用されています。

作業科学はいろんな学者が参入しているので、それぞれの立場でさまざまな概念が使用されています。

多様な展開は、作業科学の強みであり、面白さでもあります。

作業的不公正というアイデアがでてきたのも、作業科学からです。

また、作業機能障害の種類という発想も、作業科学からはじまったものです。

作業機能障害の種類は、権利という文脈になると作業的不公正の種類としてあつかわれています。

ただ領域が豊かな展開を見せるぶん、特定の論者を追っていると理解が難しくなります。

作業科学ではさまざまな見解があって、それらの動向を押さえながら概念の意味を理解していく必要がある、という視点が必要です。

多様性は、MOHOよりも作業科学がリードしています。

どちらも作業療法に役立つ視点を提供していますので、関心に応じて勉強していくとよいです。

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まとめ:作業機能障害と作業的不公正の違い【種類は共有。しかし次元が違います】

本記事では「作業機能障害と作業的不公正ってどう違うの?」という疑問にお答えしました。

両概念は基本的に文脈によって違うという理解で整理できます。

本記事が概念理解の役に立てばうれしいです。

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著者紹介
京極 真
京極 真
Ph.D.、OT
1976年大阪府生まれ。Ph.D、OT。Thriver Project代表。吉備国際大学ならびに同大学大学院・教授(役職:人間科学部長、保健科学研究科長、(通信制)保健科学研究科長、他)。首都大学東京大学院人間健康科学研究科博士後期課程・終了。『医療関係者のための信念対立解明アプローチ』『OCP・OFP・OBPで学ぶ作業療法実践の教科書』『作業で創るエビデンス』など著書・論文多数。
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