理論研究と実証研究の共通点と相違点【比較】

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きょうごく
本研究では「研究には理論研究と実証研究があるとお聞きしました。両者は何が同じで、何が違うのでしょうか」という疑問にお答えします

こんな方におすすめ

  • 理論研究と実証研究の共通点と相違点が知りたい
  • 研究が理解できるようになりたい

本記事を書いているぼくはこれまで、理論研究と実証研究を両方とも活用しており、それぞれいくつか研究論文や理論書を書いています。

理論研究の例は以下の通り。

理論研究の例

実証研究の例は以下の通り。

実証研究の例

本記事ではそんなぼくが、理論研究と実証研究の主だった共通点と相違点を解説します。

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理論研究と実証研究の共通点と相違点

先に結論を書いておくと、理論研究と実証研究の主な共通点は以下の通りです。

共通点

  • 新規性のある問題を再現可能性があるかたちで解くこと など

次に、理論研究と実証研究の主な相違点は以下の通りです。

相違点

  • 理論研究
    • 思考の前提を吟味する
    • 原理的思考を通して共通了解可能性のある理路を基礎づける  など
  • 実証研究
    • 思考を前提に検証する
    • 科学的思考を通してデータから仮説の生成・検証を行う  など

以下、それぞれさくっと解説しましょう

理論研究と実証研究の共通点

理論研究と実証研究は「新規性のある問題を再現可能性を担保したかたちで解くこと」という点では同じです。

両者はともに「研究」です。

研究は人類にとって大なり小なり新しい知見をもたらすものです。

研究で「タイヤの再発明」したってしょうがないんです。

それは、理論研究でも実証研究でも同じです。

なので、理論研究と実証研究はともに新規性のある問題を解くことになります。

また、研究の本質は他者への贈与です。

自分にしかわからないかたちで問題を解くことは研究とは言いません。

それが研究である以上、他者にも役立つかたちで示す必要があります。

そのためには再現可能性、つまり同型の問題に対しては同型の方法でやれば解ける可能性を担保しながら示すことが求められます。

もちろん、原理的に言えばあらゆる現象は一回生起なんで、実際に再現できることを保証できないけども、研究であるならばある程度の確からしさを担保する努力はしなきゃいけない。

それは、理論研究でも実証研究でも共通しております。

なので、理論研究と実証研究は「新規性のある問題を再現可能性を担保したかたちで解くこと」という点では同じだといえます。

理論研究と実証研究の相違点

他方、理論研究と実証研究には相違点もあります。

理論研究と実証研究の相違点その①

理論研究は思考の前提から問い直しますが、実証研究は思考を前提に仮説の生成・検証を行います。

将棋を例にいうと、将棋のルールを問い直し、よりよいルールを作るのが理論研究です。

他方、将棋のルールのもとで勝負するのが、実証研究です。

単純にいえば、理論研究と実証研究の違いは、ルールの再構築を行うのか、ルールのもとでゲームするのか、の違いとあらわせます。

もちろん、実証研究が行き詰まるとルールの再構築がはじまるので、その場合は実証研究→理論研究というパスが成立します。

他方、理論研究でルールが整備されるとそのもとでゲームがはじまりますから、理論研究→実証研究というパスも通っています。

つまり理論研究と実証研究は営みに違いがあるけども、お互いに関連しあっているといえます。

理論研究と実証研究の相違点その②

もうひとつの違いは、理論研究は原理的思考、実証研究は科学的思考を使うということです。

原理的思考は、ある特定の観点から論理的に考えていけば共通了解せざるを得ない理路(原理)を担保する営みです。

例えば、シャーペンの意味は「文字を書きたい」という人にとっては「執筆道具」ですけど、「音楽を奏でたい」という人にとっては「演奏道具」になりえます。

このように、意味の本質を問うという観点にたつと、あらゆる意味は私の欲望に相関するかたちで立ち現れる、と言い当てることができます。

これは、プラトン以来の哲学の伝統の中で鍛え上げられてきた理路ですが、原理的思考はこういう何にでも妥当する考え方を紡いでいく営みになります。

他方、科学的思考はデータを通して仮説の生成・検証を行うという営みです。

例えば、QOLについて知りたいと思ったら、それに関連するデータを収集し、そこから仮説を作ったり、「Aというライフスタイルの人はQOLが高い」などの仮説を検証したりすることになります。

科学的思考は何にでも妥当する理路を言い当てるのではなく、データからいえることにしぼって実証を重ねて確からしい知見を創出していきます。

理論研究は意味の世界を対象にしますが、実証研究は事実の世界を対象にしています。

哲学者フッサールが鋭く論証していますが、意味の世界は事実の世界に対して原理的に先立つものです。

というのも、事実は事実という意味をもつときにそう認識されるのであって、意味に先立って事実が成立するということは確かめられないからです。

そう考えると、建築に例えると、理論研究は基礎工事で、実証研究は建設工事といえるかもしれません。

まとめ:理論研究と実証研究の共通点と相違点

本研究では「研究には理論研究と実証研究があるとお聞きしました。両者は何が同じで、何が違うのでしょうか」という疑問にお答えしました。

両者の違いが明確に理解できると、理論研究と実証研究を進めやすくなるものです。

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