【解説】論理的な考察が苦手な人は論証形式を覚えるとよい件

きょうごく
本記事では「考察がとても苦手です。論理的に考えろと言われるのですが、それがなかなかできません。どうしたら論理的に考えることができますか」という疑問にお答えします

こんな方におすすめ

  • 論理的な考察が苦手である
  • 論理的な考察に必要な基礎知識が不十分である
  • 論理的な考察ができるようになるための資料や本が知りたい

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論理的な考察が苦手な人は論証形式を理解していない

論理的な考察の3要素

論理的な考察とは、以下の3要素が一定のルールにしたがってつながった状態を言います。

論理的な考察の3つの要素

  • 論拠
  • 裏付け
  • 判断・結論

論理的に考察するときは、上記の3つの要素を一定のルールにしたがってつないでいく必要があります。

このルールは論証形式といいます。

問題を解いてみよう

論証形式を理解しているかどうかは、わりと簡単な文章でチェックできます。

まず以下の文章を読んでください。

  • 論拠1:風が吹いたら木の枝がゆれる
  • 論拠2:木の枝がゆれている
  • 判断・結論:したがって風が吹いた

いかがですか? どこか変なところはありませんか?

実は、この文章は論理的な考察としてはまったくダメです。

その理由がわかった人はOK。

よくわからなかった人は、論理的な考察に必要な論証形式に関する基礎知識がないです。

答えあわせ

上記の文章の論理的な問題に気づくには、論証形式のひとつであるモーダスポネンスを知っておくとよいです。

モーダスポネンスの論証形式は以下の通りです。

モーダスポネンス

  1. AならばBである
  2. Aである
  3. したがってBである

先ほどの論理的な考察の3つの要素との対応を説明すると、ここでいうA、Bが論拠になります。

論拠には十分な裏付けが必要です。

「したがってAである」は判断・結論です。

上述の文章をもう一度確認しましょう。

  • 論拠1:風が吹いたら木の枝がゆれる
  • 論拠2:木の枝がゆれている
  • 判断・結論:したがって風が吹いた

いかがですか。

この文書はモーダスポネンスという論証形式の誤用だとわかればOKです。

正しい論理的な文章に直すと以下のようになります。

  • 論拠1:風が吹いたら木の枝がゆれる
  • 論拠2:風が吹いている
  • 判断・結論:したがって木の枝がゆれる

論証形式だけみれば、これは論理的には完璧です。

論理的な考察が苦手な人は、論理的に正しくするための論証形式を理解していないことが多いです。

苦手意識を払拭したければ、論証形式を理解するようにしましょう。

論理的な考察が苦手な人のための論証形式の簡単な解説

論証形式の種類

論証形式には強い論証と弱い論証があります。

強い論証は論拠と裏付けから必然的な判断・結論を導出します。

先ほどのモーダスポネンスは強い論証の典型例です。

他方、弱い論証は論拠と裏付けから蓋然的な判断・結論を導出します。

弱い論証は伸びやかな考察を展開するうえで不可欠です。

論理的な考察を展開するためには、この両方を併用しながら展開するしかないです。

なので、論理的な考察がしたい人は両方とも理解する必要があります。

注意

  • 論理的な考察は強い論証と弱い論証を両方とも使う必要がある

強い論証

強い論証には主に以下の種類があります。

強い論証の主な種類

  • モーダスポネンス
  • モーダストレンス
  • 定言三段論法
  • 構成的ジレンマ
  • 背理法       など

通常、論理的な考察では、これらの論証形式を組合せていきます。

つまり、1つの論証形式で考察が終わることはまずないです。

高強度な考察を展開するためには、必然的な判断・結論を導出できる強い論証を複数活用してください。

以下の動画では強い論証についてわかりやすく解説していますので、上記の論証形式のうち1つでも知らないものがあれば視聴してください。

動画で使用しているスライド資料のバージョンアップ版と論理的な考察に対する吟味ポイントをまとめた資料は以下から入手できますので、関心がある人はそちらもあわせてご覧ください。

他者を説得する論証の技術【強い論証編】

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※資料は300円で購入できます

弱い論証

弱い論証には主に以下の種類があります。

弱い論証の主な種類

  • 帰納法
  • アブダクション
  • 仮説演繹法
  • アナロジー   など

強い論証と同様に、論理的な考察ではこれらの論証形式を組合せる必要があります。

つまり、弱い論証もまた1つの論証形式で考察が完了することはないです。

伸びやかな考察を展開するために、蓋然的な判断・結論を導出できる弱い論証を複数活用してください。

以下の動画では弱い論証についてわかりやすく解説しました。

上記の論証形式のうち1つでも知らないものがあれば、ぜひともご視聴ください。

動画で使用しているスライド資料と論理的な考察に対する吟味ポイントをまとめた資料は、以下から入手できます。

わりと込み入った内容なので、資料があった方がわかりやすいと思います

他者を説得する論証の技術【弱い論証編】

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※資料は300円で購入できます

論理的な考察が苦手な人が論証形式を学べるおすすめ本【厳選4冊】

上記の動画や資料よりも詳しく学びたい人には以下の本がおすすめです。

おすすめ

  • 論理トレーニング
  • 論理トレーニング101題
  • 大人のための国語ゼミ
  • 新版 論文の教室

論理トレーニング

ぼくは初版から愛読しており、特に大学院生時代はボロボロになるまで何度も読み返した名著です。

「論理形式を学ぶ→問題を解く」というサイクルで学習を進めることができます。

論理的に考察できるようになりたい人は必読です。

論理トレーニング101題

101の練習問題をひたすら解くことによって、論理形式の学習を進めることができます。

論理的な考察は論理形式を暗記するだけでは無理ゲーです。

本書で実際に何度もトライ&エラーすることによって理解が深まります。

大人のための国語ゼミ

最近では本ですが、めちゃわかりやすいうえに内容も深いのでおすすめです。

挿絵漫画もあってわかりやすいので、上記の2冊が難しい人でも読み進められると思います。

この本にも練習問題がついているので、実際に解きながら読むことで論理的に考えるチカラが身につくでしょう。

新版 論文の教室

ぼくも愛読している名著です。

わかりやすい例を通して論理形式を学べます。

本書は論文執筆で論理形式をどう活かすかについても詳解しているので、研究論文の考察を論理的に書く必要がある人は必読です。

まとめ:論理的な考察が苦手な人は論証形式を覚えるとよい件

本記事では「考察がとても苦手です。論理的に考えろと言われるのですが、それがなかなかできません。どうしたら論理的に考えることができますか」という疑問にお答えしました。

主な論理形式には以下の通りでして、最低限これらは理解するようにしましょう。

主な論理形式の種類

  • モーダスポネンス
  • モーダストレンス
  • 定言三段論法
  • 構成的ジレンマ
  • 背理法
  • 帰納法
  • アブダクション
  • 仮説演繹法
  • アナロジー       など

なお、論理的な文章を書けるようになりたい人は、以下の記事もあわせてお読みください。

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