質的研究の理論的飽和度という方法
Makoto KYOUGOKU
京極真のWebマガジン
本記事では「事例報告の目的はどんなふうに書けば良いですか?」という疑問にさくっと答えています。
学会発表の演題を査読していると、目的が非常に不明瞭なものがあります。
特に事例報告でそれは顕著です。
ありがちな例としては、「〜という事例を経験したので報告する」という表現です。
これでは、事例を報告する目的がまったくわかりません。
わからないのです。
病院内・施設内で私的な事例報告ならよいかもしれません。
しかし、学会発表である以上は経験したから報告するではなく、「何を報告したいのか?」を明確に示す必要があります。
そのためには、事例の何を報告したいのか、どういう知見が他者と共有する価値があるのか、をよくふり返って考えましょう。
単に経験を報告するのではなく、その経験から生成できる仮説は何か、先行研究に対比させるとその仮説にどんな実践的意義があるのか、を問い詰める必要があるのです。
多くの事例報告が次のより発展的な研究につながらず、単に報告されるだけで終わりがちなのは、そうした点に対する洞察の弱さにあります。
「経験したから報告する」だけでは、他者がその結果を継承していくことができないからです。
事例報告は、次につながる仮説を生成してこそ報告する価値があるのです。
そのための不可欠な一歩として、事例報告の目的を明確化にするようにしましょう。
本記事では「事例報告の目的はどんなふうに書けば良いですか?」という疑問にさくっと答えました。
結論は「目的は明確に!」です。
なお、事例報告の方法を学べる書籍について以下の記事で紹介しています。合わせてどうぞ!!