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著者について

# 著者について

京極 真(きょうごく・まこと)。

作業療法士、博士(作業療法学)。1976年、大阪府生まれ。吉備国際大学人間科学部教授、同大学大学院保健科学研究科教授。人間科学部長、保健科学研究科長を務める。『京極真の思想ノート』を運営し、Thriver Project代表として、研究、執筆、教育、実践を支える教材や講座を制作している。

臨床、研究、教育、組織運営を通して考えてきたのは、人はどのように世界と関わり、そのなかで自分の生活を形づくっていくのか、という問いである。

人は、身体や心理機能の集合として生きているわけではない。何かをし、誰かと関わり、出来事に意味を与えながら、一日の過ごし方や役割や関係を組み立てている。病気や障害、制度、経済的な条件、組織の力は、その可能性を広げることもあれば、狭めることもある。

作業療法では、人が何をしながら生活を成り立たせているのかを考えてきた。信念対立では、互いに正しいと考えている人たちが、なぜ協力できなくなり、ときに相手を傷つけてしまうのかを考えてきた。研究では、何を根拠に、どこまで確かなことを言えるのかを問い、教育では、人が自分で考え、学び直せるようになるための条件を考えてきた。

これらは、それぞれ別の問題に見える。

けれど、僕のなかでは一つの問いにつながっている。

僕らは、どのような前提や区分によって、目の前の問題を見ているのか。その問いは、本当に答えられる形で成り立っているのか。問いを立てた時点で、誰に原因を置き、誰に変化を求め、何を見えなくしているのか。

僕は、問いにすぐ答えるより、その問いが生まれた経験へ戻り、問いを支えている条件を確かめる。問いが、確かめようのない前提や、現実には成り立たない二択によって行き詰まっているなら、そこに込められた切実な関心を残しながら、現実に検討できる問いへ組み直す。

そのうえで、具体例や反例を行き来しながら、その事柄を成り立たせている中心的な条件を捉える。そして、異なる立場の人でも、思考の道筋と限界を確かめられる形にする。

この思考の運動を、僕は「原理的思考」と呼んでいる。

原理的思考は、難しい言葉を使うことでも、常識と反対のことを言うことでもない。何でも立場次第だと相対化するためのものでもない。

また、現実の苦しさを、問いや言葉の問題へ置き換えるためのものでもない。問いの前提を疑ったからといって、病気や障害、貧困、差別、制度の不備、組織の権力が消えるわけではない。

むしろ、最初に与えられた説明だけで現実を決めつけず、何が人を苦しめ、どの条件が変われば、生活や関係の可能性が広がるのかを考えるためにある。

考えることや書くことは、すぐに人を救うわけではない。問題を直ちに解決できるわけでもない。

それでも、複雑にこじれた経験に言葉を与え、自分がどの問いに閉じ込められていたのかを見えるようにすることはできる。問いが変わることで、初めて見えてくる選択肢もある。

Thriver Projectでは、研究、執筆、教育、実践を具体的に前へ進めるための教材や講座を提供している。

一方、『京極真の思想ノート』では、すぐに役立つ方法や手順だけではこぼれ落ちてしまう問いを扱っている。

人間とは何か。社会のなかで自由に生きるとはどういうことか。分かり合えない世界で、それでも他者と関わるとはどういうことか。専門性や正しさをもちながら、それらに閉じ込められずに考えることはできるのか。

ここは、そうした問いに急いで答えを出すのではなく、問いの一歩手前へ戻り、必要なら問いそのものを組み直しながら考えるための場所である。

そして何より、僕自身が、考えることと書くことを楽しむための場所でもある。

思想ノートについて

主な著書・編著

京極 真『この一冊でわかる! セラピストのための研究論文の書き方ガイド』三輪書店、2024年。

京極 真・藤本 一博・小川 真寛 編『OCP・OFP・OBPで学ぶ 作業療法実践の教科書』メジカルビュー社、2024年。

藤本 一博・小川 真寛・京極 真 編『5つの臨床推論で整理して学ぶ 作業療法リーズニングの教科書』メジカルビュー社、2022年。

小川 真寛・藤本 一博・京極 真 編『5W1Hでわかりやすく学べる 作業療法理論の教科書』メジカルビュー社、2020年。

友利 幸之介・京極 真・竹林 崇『作業で創るエビデンス――作業療法士のための研究法の学びかた』医学書院、2019年。

京極 真『医療関係者のためのトラブル対応術――信念対立解明アプローチ』誠信書房、2014年。

京極 真『信念対立解明アプローチ入門――チーム医療・多職種連携の可能性をひらく』中央法規出版、2012年。

京極 真『医療関係者のための信念対立解明アプローチ――コミュニケーション・スキル入門』誠信書房、2011年。

西條 剛央・京極 真・池田 清彦 編著『なぜいま医療でメタ理論なのか――構造構成主義研究3』北大路書房、2009年。

西條 剛央・京極 真・池田 清彦 編著『信念対立の克服をどう考えるか――構造構成主義研究2』北大路書房、2008年。

西條 剛央・京極 真・池田 清彦 編著『現代思想のレボリューション――構造構成主義研究1』北大路書房、2007年。

詳細な業績はResearchmapをご覧ください。

https://researchmap.jp/read0151322

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