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【真実】作業療法という領域の歴史のはじまり【研究者が語る】

Makoto KYOUGOKU
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京極真
京極真

本記事は「作業療法という領域はいつはじまったのですか?」という疑問にお答えします

こんな方におすすめ
  • 作業療法の歴史に興味がある
  • 作業療法の歴史のはじまりが知りたい

【真実】作業療法という領域の歴史のはじまり【研究者が語る】

結論:作業療法という領域の歴史のはじまりは1914年12月28日

世界の作業療法の日:10月27日

日本の作業療法の日:9月25日

では、作業療法 occupational therapyという概念が誕生した年月はいつでしょうか(以前、Twitterで問いかけましたが、リアクションはゼロでした、笑)。

問題。日本の「作業療法の日」は9月25日です。では作業療法 occupational therapy という概念が誕生した年月日はいつでしょうか?

— 京極真@らいすた副代表 (@MaKver2) 2015年9月25日


解答を示すと、作業療法という概念が提唱されたのは、1914年12月28日です。

建築士のGeorge Edward Bartonが提唱

ボストンのマサチューセッツ州で開催された会議上で、建築士のGeorge Edward Bartonが作業療法(occupational therapy)という概念をはじめて使用しました。

以下の文献ではっきり書かれています(ぜひ各自で確認してください)。

提唱した本人が書いているだけでは不安なので、作業療法の歴史研究に関する先行研究を精査したところ、やはり同一の結論に達していました。

なので、おそらく上記の年月日で正しいです。

作業療法は哲学の影響をバリバリ受けています。

その背景を理解したい人は以下もお読みください。

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作業療法という領域の歴史のはじまり以前

Barton以前には統一されていなかった

作業療法という領域の歴史のはじまり以前はどうだったのかというと、Barton以前は、作業を通した治療は道徳療法(moral treatment)、作業治療(occupational treatment)、仕事療法(work therapy)など様々な呼び名がありました。

つまり、作業療法誕生の土壌は、時間をかけて育まれてきたと言えます。

しかし、Barton以降、作業を使った治療は作業療法という新しい概念で統一表記されるよう
になりました。

いろんな動向が1つの新しい概念に集約し、その後、ものすごい勢いで世界展開したわけです。

こんなこと、普通なかなか起こりません。

通常、起こりえないことが起こったときは、どのような時代的条件のなかで作業療法という概念が生まれたのか、を徹底的に考えぬく必要があります。

その条件を根っこから把握できない限り、私たちは作業療法の意味と可能性を理解することは決してできない。

特定の時代的条件を味方に誕生した領域とは、そういうものです。

では、作業療法の背景にどのような時代的条件があったのか。

その答えは現在、寺岡睦さんと一緒に鋭意執筆中の「OBP2.0」で詳しく論じています。

しばしお待ちくだせー。

作業療法という領域の歴史のはじまりとEBMの類似点

疑問

ところで、かつて作業療法がたどった展開は、何かのそれと似てません?

そうEBM(evidence-based medicineです。

EBMは、Gordon Guyattが1990年3月に使用し、その後、瞬く間に世界に膾炙しました(何日かはど忘れ。いま文献が手元にない)。

文献上の初出は1992年ですが、EBM以前にあった疫学、臨床疫学、科学的医学などの動向をエネルギーにしたものでした。

このときもやはり、独特の時代的条件があったと思います。

まとめ:【真実】作業療法という領域の歴史のはじまり【研究者が語る】

本記事は「作業療法という領域はいつはじまったのですか?」という疑問にお答えしました。

作業療法という概念が提唱されたのは、1914年12月28日です。

作業療法に関係する人はこの日にお祝いしましょう。

著者紹介
京極 真
1976年大阪府生まれ。Ph.D、OT。Thriver Project代表。吉備国際大学ならびに同大学大学院・教授。作業療法学科長、保健科学研究科長、(通信制)保健科学研究科長。首都大学東京大学院人間健康科学研究科博士後期課程・終了。『医療関係者のための信念対立解明アプローチ』『作業療法リーズニングの教科書』『作業で創るエビデンス』など著書・論文多数。
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