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【解説】作業機能障害の概念史【初心者向け】

京極真
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本記事では「作業機能障害ってなに?どんな経緯で発展してきたの?」という疑問にお応えした講義動画のポイントを解説します

こんな方におすすめ
  • 作業機能障害がどう発展してきているのか知りたい
  • 動画のポイントをさくっと理解したい。

【解説】作業機能障害の概念史【初心者向け】のポイント

作業機能障害という概念は精神医療で最初使われましたが、これは精神障害者の職務遂行上の障害という意味であり、作業療法でいう作業機能障害とは直接の接点をもちません。

作業療法における作業機能障害は、1980年に提唱された人間作業モデルで取り上げられました。

人間作業モデルはReillyの作業行動とシステム理論の統合で発展したものです。

作業行動では作業機能障害ではなく作業役割機能障害という概念でした。

両者はともに仕事、日課、遊び、睡眠といった生活の問題をあつかう概念として位置づけられています。

作業行動は初期の作業療法の現代化です。

初期の作業療法では、作業役割機能障害ではなく、作業疾患という概念が1914年に提案されていました。

提案者は作業療法の命名者である建築士のBartonです。

Bartonは障害をもつ当事者であり、自身の体験から作業が教育と治療に役立つと気づき、作業を通して健康的で生産的な生活の再構築を支援する慰めの家(Consolation House)を設立しました。

そうした実践を総称して、作業療法という名称を提案しました。

Bartonの作業療法は「薬としての作業」という特徴があり、医学が疾患・障害にあわせて薬を処方するように、作業疾患にあわせて作業処方することが作業療法士の役割であると位置づけました。

作業疾患という概念は医学モデルの台頭で廃れてしまい、次に日の目を見るためには1950年代に誕生するReillyの作業行動を待つ必要がありました。

作業行動はBartonら初期の作業療法の現代化であり、作業療法士が作業の問題を解決できるようにするために作業役割機能障害という問題を再設定しました。

作業役割機能障害は労働者、学生、主婦、退職者、未就学児、趣味人などの作業役割を適切に行えない状態を意味しています。

Reillyの作業行動はアイデアの宝庫であったものの、広範囲過ぎるがゆえに実践であつかいにくいところがありました。

そこで、そうした問題を解決するために、Kielhofnerらによって人間作業モデルが提案されたのです。

作業役割を重視した作業行動に対して、人間作業モデルは意志、習慣化、遂行能力、環境の4つのコア概念を重視しました。

そして、作業役割は習慣化に位置づけ、ある種相対化しました。

人間作業モデルは1980年、1985年、1995年にバージョンアップ版が公開され、その都度、作業機能障害という概念も洗練されていきました。

特に1995年の人間作業モデル第二版以降は作業機能障害という概念がこの理論が消えたこともあって、人間作業モデルにおける作業機能障害概念のピークを迎えました。

同時期に、作業科学でも作業機能障害という概念が議論されはじめました。

作業科学は作業の知識を生みだす領域であるため、作業機能障害を意志、習慣化、遂行能力、環境の概念で照射するのではなく、その成果を踏まえながら作業機能障害という問題の内実を整理するかたちで展開しました。

その途上でWilcockが作業機能障害の種類という視点を提案します。

これは、作業機能障害という問題の内実を作業不均衡、作業剥奪、作業疎外といった概念で整理したものでした。

作業機能障害の種類という視点はいろんな論者に引き継がれ、作業混乱、作業周縁化、作業隔離などさまざまな種類が発見されていきました。

ところが、それによって概念に混乱が生じたため、作業機能障害の種類を必要最小限の概念で整理するという取り組みがはじまりました。

それが、寺岡らによるOBP2.0です。

OBP2.0は初期の作業療法、作業行動、人間作業モデル、作業科学などの成果を総括し、理論的にも実証的にも作業機能障害は作業不均衡、作業剥奪、作業疎外、作業周縁化で説明できる可能性を示しています。

作業機能障害の種類という視点の最大のメリットは、作業の問題にフォーカスし続けることによって、生活と人生の問題に対応しやすくしている点にあります。

現在も、作業機能障害とその種類という切り口でさまざまな研究が進行しています。

人間作業モデルでは作業機能障害という概念を使用しなくなったため、作業機能障害という問題は作業科学やOBP2.0の観点からしばらく発展していくことでしょう。

文献などの詳細は以下の資料でお示ししていますので、関心がある人はぜひどうぞです。

https://note.com/kyougoku/n/n3ec45898f0fc

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まとめ:解説】作業機能障害の概念史【初心者向け】

本記事では「作業機能障害ってなに?どんな経緯で発展してきたの?」という疑問にお応えした講義動画のポイントを解説しました。

作業機能書障害は他領域で着目され、その後、作業療法の源流とあわさって独自の発展を遂げてきた問題群です。

疾患、役割、意志、習慣化、遂行能力、環境の観点から捉えられてきましたが、近年は作業機能障害とその種類という観点から研究が進められています。

作業機能障害は人間の生活と人生の問題を理解し、支援していくために仕える方法概念です。

今後もこの切り口で役立つ知見を提供していきたいと考えています。

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著者紹介
京極 真
1976年大阪府生まれ。Ph.D、OT。Thriver Project代表。吉備国際大学ならびに同大学大学院・教授(役職:人間科学部長、保健科学研究科長、(通信制)保健科学研究科長、他)。首都大学東京大学院人間健康科学研究科博士後期課程・終了。『医療関係者のための信念対立解明アプローチ』『OCP・OFP・OBPで学ぶ作業療法実践の教科書』『作業で創るエビデンス』など著書・論文多数。
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