オンライン教育プラットフォーム|Thriver Project
研究教育
PR

【買うべし】混合研究を学びたい人におすすめな本【研究方法も解説するよ】

京極真
記事内にプロモーションを含む場合があります
京極真
京極真

本記事では「混合研究について興味がありますけど、いまいちよくわかりません。簡単に説明していただけますか。また、混合研究について学べるおすすめ本があれば知りたいです」という疑問にお答えします

こんな方におすすめ
  • 混合研究の概要を理解したい
  • 混合研究を学べる本が知りたい

混合研究を学びたい人が最低限理解すべき研究方法

混合研究の特徴

混合研究(Mixed Methods Research(MMR))は2つ以上の研究方法を活用し、単一の研究方法では見いだせない知見を明らかにする方法です。

典型な混合研究では質的研究と量的研究を活用します。

通常、研究方法は単一のものが用いられます。

例えば、質的研究者は質的研究のみ、量的研究者は量的研究のみ使って仮説を生成したり、検証したりします。

混合研究はこれらを組み合わせることによって、単一の研究方法でアプローチしたときよりも立体的な知見を示せる利点があるのです。

欠点は複数の研究方法に精通する必要があるため、ハードルが高いという点です。

多くの人は1つの研究方法を使いこなすだけでも苦労します。

それに対して、混合研究は2つ以上の研究方法を駆使するので、基本的にはハードゲームです。

けど、複雑な現象を明らかにするためには、めちゃくちゃ有益な方法なので身につける必要ありです。

混合研究のポイント

混合研究がハードゲームになりがちな理由の1つの哲学があります。

混合研究は相反する哲学的基盤を統合する必要があり、研究方法に加えて哲学にも通じないと適切に運用できないんです。

単純に説明すると、混合研究は以下の相反する哲学を含みます。

注意
  • 量的研究・・・モダニズム
  • 質的研究・・・ポストモダニズム

これらの哲学は単一のものではなく、複数の哲学が流れ込むことによって形成されたものです。

議論がややこしくなるので、思いきって単純化すると、モダニズムは主観から独立した客観があると仮定し、研究者は観察者となって客観を正確に記述するという役割を担います(参考:作業療法の科学論①)。

他方、ポストモダニズムは世界は主観を通して能動的に構成されていると仮定するため、研究者は自らの立ち位置を明確にしながら体験を記述するという役割をにないます(参考:作業療法の科学論②)。

前者の立場にたてば後者は信頼できない知見になるし、後者の立場にたてば前者は夢物語にすぎません。

混合研究は矛盾する哲学を内包しながら、力強く新しい知見を作りあげていくのですが、その中核にあるのがプラグマティズムです。

プラグマティズムは実用性に着目することによって、哲学レベルで生じる矛盾を解消する可能性の理路です(参考:作業療法の哲学的基盤 プラグマティズムを中心に)。

もちろん、プラグマティズムにもさまざまな問題があるので、ぼくの考えから言えば不徹底なものなのですが、現状の混合研究はひとまずそれでうまく機能させようと努力されています。

混合研究のデザイン

混合研究は哲学的立ち位置、つまりプラグマティズムという立場を明確にしたうえで、2つ以上の研究方法を活用する方法です。

その研究デザインは以下の通り。

研究デザイン
  • 探索的順次デザイン
  • 説明的順次デザイン
  • 収斂的デザイン
  • 埋め込み型デザイン

探索的順次デザインの流れは以下の通り。

  1. 質的研究で仮説を生成する
  2. 量的研究で仮説を検証する

説明的順次デザインの流れは以下の通り。

  1. 量的研究で仮説を検証する
  2. 質的研究で仮説を深化させる

収斂的デザインの流れは以下の通り。

  1. 質的研究と量的研究を同時進行で行う
  2. 2つの研究結果を踏まえて立体的に考察する

埋め込み型デザインの特徴は以下の通り。

特徴
  • 量的研究の一部に質的研究を組みこむ
  • または、質的研究の一部に量的研究を組みこむ

混合研究を学びたい人におすすめな本【厳選3冊】

本記事で紹介する本は以下の通り。

おすすめ本
  • 混合研究法の基礎: 社会・行動科学の量的・質的アプローチの統合
  • 混合研究法への誘い─質的・量的研究を統合する新しい実践研究アプローチ
  • 人間科学のための混合研究法: 質的・量的アプローチをつなぐ研究デザイン

混合研究法の基礎: 社会・行動科学の量的・質的アプローチの統合

必読書。

混合研究の基礎から応用まで詳細に理解できます。

哲学的な問題も詳しく解説しているし、データの収集から分析まで具体例を示しながら論じています。

混合研究したい人は、これ読まないとどうにもならないと思います。

混合研究法への誘い─質的・量的研究を統合する新しい実践研究アプローチ

混合研究の論文集。

混合研究の哲学、研究デザイン、より発展的な活用法について学べます。

また、パネルディスカッションが収録されており、混合研究の争点も理解できるお得な内容です。

上記の本とあわせて読むと理解が深まりやすいです。

人間科学のための混合研究法: 質的・量的アプローチをつなぐ研究デザイン

文章はやや読みにくいところもありますが、要約と演習付きでかなり実用的です。

具体的な研究論文も紹介されており、量的研究と質的研究を組み合わせるイメージを形成できます。

また、論文の書き方についても理解しやすいです。

混合研究の発展的話題も収録されており、今後の戦略を考える材料になります。

まとめ

本記事では「混合研究について興味がありますけど、いまいちよくわかりません。簡単に説明していただけますか。また、混合研究について学べるおすすめ本があれば知りたいです」という疑問にお答えしました。

混合研究法は2つ以上の研究法を統合したものであり、典型的には質的研究と量的研究の組合せによって成り立っています。

混合研究のデザインは以下の通りなので、目的に応じて使い分けていただけたらと思います。

研究デザイン
  • 探索的順次デザイン
  • 説明的順次デザイン
  • 収斂的デザイン
  • 埋め込み型デザイン

本記事では混合研究についておすすめ本を紹介しましたが、他の研究にも参考本があります。

以下の記事で研究を学べる本をまとめました。

どんな本を読めばいいのかお探しの方は以下からどうぞ!!

著者紹介
京極 真
1976年大阪府生まれ。Ph.D、OT。Thriver Project代表。吉備国際大学ならびに同大学大学院・教授。作業療法学科長、保健科学研究科長、(通信制)保健科学研究科長。首都大学東京大学院人間健康科学研究科博士後期課程・終了。『医療関係者のための信念対立解明アプローチ』『作業療法リーズニングの教科書』『作業で創るエビデンス』など著書・論文多数。
記事URLをコピーしました