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数値化できる!?コミュニケーション能力を測定する方法

京極真
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本記事では「コミュニケーション能力を測定する方法が知りたいです。コミュニケーション能力は数値化できますか」という疑問にお答えします。

こんな方におすすめ
  • コミュニケーション能力を測定する方法を知りたい
  • コミュニケーション能力を測定するメリットとデメリットを教えてほしい
  • デメリットの対策もあわせて知りたい

なお、以下の記事にコミュニケーションに関する記事をまとめました。

興味のある人は合わせてお読みください。

数値化できる!?コミュニケーション能力を測定する方法

結論からいうと、コミュニケーション能力を測定する方法は以下の通り。

コミュニケーション能力を測定する方法
  • ACIS
  • ESI

コミュニケーション能力と一言で言っても、文脈によっていろいろ変わります。

ここでは、日々の生活で必要なコミュニケーション能力を測定するという前提のもとで2つの方法をピックアップしました。

両者はともに観察評価によってコミュニケーション能力を測定する方法です。

得点が高い人はコミュニケーション能力が高い人だと解釈できます。

ACIS

ACISの正式名はAssessment of Communication and Interaction Skill(コミュニケーションと交流技能評価)です。

これは日々の生活の中で他人とのやり取りの様子を観察し、利点と欠点を同定し、4件法で評定するものです。

ACISは3歳以上の子供であれば適用できますし、2者関係から集団関係まで幅広く測定できます。

コミュニケーション交流技能は以下の因子で構成されており、計20の技能項目を通して観察します。

因子構造
  • 身体性
  • 情報交換
  • 関係性

使用に際しては人間作業モデルの理解が必要ですが、ACISに関する認定資格などは特にありません。

様々な研究でわりと良好な尺度特性を示すことがわかっていますので、コミュニケーション能力を測定したい人は活用を検討すべしです。

ACISの入手先は以下です。

ESI

ESIの正式名称はEvaluation of Social Interaction(社会交流技能評価)です。

ACISと同様に、日々の暮らしの中で行っている作業の観察を通して、コミュニケーション能力の測定を行います。

ESIは社会交流技能を7因子で構成し、27項目の技能項目で観察します。

因子構造
  • 社会交流を生む
  • 社会交流を身体的にサポートする
  • 社会交流の内容を形づくる
  • 社会交流の流れを維持する
  • 社会交流を言葉でサポートする
  • 坂井交流に適応する

引用元

ESIの利点は多面的ラッシュ分析を用いて標準化された社会交流技能の程度を推定できるところです。

しかしそのためには認定評価者の資格を得る必要があるという制約があります。

実際に活用したい人は以下のサイトから認定評価者の資格を取れるかどうかを確認してくださいね。

また研究論文についてはいくつかあるので、興味がある方はぜひそちらも参照なさってください。

コミュニケーション能力の測定で数値化するメリットとデメリット

ぼくはESIの認定資格はもっていないですが、AICSについては臨床で活用し、研究論文を書いたこともあります。

その経験を踏まえてメリットとデメリットをさくっと解説します。

コミュニケーション能力の測定で数値化するメリット

メリットは以下の通りです。

メリット
  • 理解がしやすい
  • 伝えやすい
  • 対策を立てやすい

理解がしやすい

コミュニケーション能力ってわりと複雑なシステムです。

なので、パッとみただけでは理解し難かったりします。

でも、技能項目にそって観察し、利点と欠点を数量化すると、いまどんな状態なのかを平易に把握しやすくなります。

伝えやすい

次に、数値化するとコミュニケーション能力の程度を伝えやすくなります。

例えば、「コミュニケーションと交流技能は30点」と言われると、解釈のルールを共有している限りにおいて状態を共有しやすいです。

単に「コミュ力が低い」などと言われるよりも、数量化することによってどの程度悪いのか(あるいは良いのか)を共有しやすくなりますね。

対策を立てやすい

数量化は技能項目にそって測定することによって可能になります。

そのため、コミュニケーション能力の利点と欠点を具体的に分析しやすいです。

分析できれば対策も立てられるので、測定することは対策立案に役立つと感じています。

コミュニケーション能力の測定で数値化するデメリット

デメリットは以下の通りです。

デメリット
  • 質感がこぼれ落ちる
  • 既存の技能項目で捉えられないことがある

質感がこぼれ落ちる

数量化すると、コミュニケーション能力の皮膚感覚が失われるデメリットがあると感じることがあります。

例えば、「ジェスチャーをする」という技能項目が2点だったとして、2点の向こう側にあるリアルな事象までは表現できないわけです。

そのため、五感を活かした非構成的評価でもコミュニケーション能力を捉える必要があるかと思います。

既存の技能項目で捉えられないことがある

また、測定するときは既存の技能項目で事象を捉える必要があります。

ところが、コミュニケーションはダイナミックでインタラクティブなプロセスなので、予定調和に既存の技能項目で捉えられないことがあります。

そうした場合も、五感を活かした非構成的評価を実施する必要がありますね。

コミュニケーション能力の測定は非構成的評価とセットで行うと良い件

コミュニケーション能力の測定にはメリットとデメリットがあります。

メリットを活かしつつ、デメリットを抑えるには非構成的評価とあわせて実施するしかないです。

非構成的評価とは自然な観察と面接で行う評価のことです。

非構成的評価は以下の本が詳しいので、関心がある人はぜひどうぞです。

まとめ:数値化できる!?コミュニケーション能力を測定する方法

本記事では「コミュニケーション能力を測定する方法が知りたいです。コミュニケーション能力は数値化できますか」という疑問にお答えしました。

結論をいうと、コミュニケーション能力を測定する方法は以下の通りです。

コミュニケーション能力を測定する方法
  • ACIS
  • ESI

本記事がコミュニケーション能力を測定したい人に役立つようでしたらうれしいです。

著者紹介
京極 真
1976年大阪府生まれ。Ph.D、OT。Thriver Project代表。吉備国際大学ならびに同大学大学院・教授。作業療法学科長、保健科学研究科長、(通信制)保健科学研究科長。首都大学東京大学院人間健康科学研究科博士後期課程・終了。『医療関係者のための信念対立解明アプローチ』『作業療法リーズニングの教科書』『作業で創るエビデンス』など著書・論文多数。
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