【2018年度】信念対立解明アプローチ入門【開発者が語る】

投稿日:

きょうごく
本記事では「信念対立解明アプローチってどのような理論ですか?」という疑問にわかりやすくお答えします。

本記事の内容

  • 初心者向けに信念対立解明アプローチの概要を解説
  • 信念対立解明アプローチのメリットとデメリットが理解できる【他の理論と比較しながら考察】
  • 信念対立解明アプローチでよくある質問【典型的な疑問をすべて解決します】
  • 信念対立解明アプローチをはじめる手順

この記事を書いている僕は、信念対立解明アプローチの開発者です。

つまり本記事では、信念対立解明アプローチの開発者自らが概要を紹介しつつ、メリットとデメリットをレビューしています。

※5分ぐらいで読み終わるので、最後までおつきあいしてくださいますとうれしいですm(_ _)m。

信念対立の概要

信念対立とはどのような問題なのか?

皆さんには以下のような体験ってありませんか?

ココがポイント

  • 話せば話すほどわかりあえない
  • 他の人と意見が対立することがある
  • 価値観のズレがしんどい
  • 人間関係が難しいと感じる
  • 自分の常識では理解し難いことが生じる
  • 嫌いな相手がいる
  • 争いあってしまうことがある

などなど。

ぼくは、このような問題を信念対立と呼んでいます。

医療従事者の場合、ABCR-14という評価尺度を使えば生活に支障がでるぐらい強い信念対立を体験しているか否かを判定できます。

以下の記事から無料でダウンロードできるので、医療従事者はぜひご活用ください。

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さて、信念対立は疑義の余地なき確信に齟齬が生じることによって生じる問題でして、簡単にいえばこれは思考、感情、行動を含む世界観の確執です。

同じ世界観を持った人はいないので、信念対立は大なり小なりどこでも生じます。

例えば、「他人には親切にすべきだ」と思っている人が、他人に不親切な人を前にするとイライラしたり、不愉快になったりしがちですが、こういう日常で生じる違和感も信念対立の一種です。

人生はもともと山あり谷ありでして、信念対立が頻発すると人生の難易度はけっこう高めになります。

幸か不幸か人間の寿命は長くなる一方なので、その傾向は強くなるばかりです。

信念対立のメリットとデメリット

信念対立にはメリットとデメリットがあります。

信念対立の主なメリット

  • 信念対立で人々の多様性に気づくことがある
  • 意見や価値観の対立がきっかけで、相互理解が深まることがある
  • 信念対立によって問題が明らかになって改善点を見いだせることがある

などです。

つまり、すべての信念対立が悪いわけではないです。

他方、信念対立には無視できないデメリットがあります。

信念対立の主なデメリット

  • とにかくしんどいので、心身にダメージを与えることがある
  • 信念対立はパフォーマンスとアウトカムを劣化させることがある
  • 信念対立がきっかけで人間関係、社会関係が破綻することがある
  • 生死をかけた争いに発展することがある

などです。

信念対立はデメリットが全面にでやすいものでして、信念対立解明アプローチなどの方法によって対策する必要があります。

信念対立解明アプローチの概要

信念対立解明アプローチってどんな理論?

信念対立は多様な世界観のズレで生じる問題です。

この問題を解消するためには、多様な世界観を承認できること、そのうえで必要に応じて協働できること、という条件を満たす必要があります。

これを信念対立解明アプローチでは以下のように言います。

ココがポイント

  • 相対可能性の担保
  • 連携可能性の担保

なお、信念対立解明アプローチの背景には現象学や構造構成主義などの哲学がありまして、信念対立解明アプローチは哲学的実践論に位置づけることができます。

哲学がベースにあるので、信念対立解明アプローチに通底するのは原理的思考です。

相対可能性の担保

信念対立の典型は特定の世界観を起点にして、それにあわない対象を攻撃、否定、非難するかたちで表れます。

つまり、この問題は多様な世界像を並列できないために生じるわけです。

それゆえ、信念対立解明アプローチは「千差万別」という感度を担保するという方向で働きかけていきます。

人にはそれぞれ異なる世界観があって、場合によっては個人の中にもときに矛盾する世界観があるものです。

だから、話せば話すほどわかりあえないということは普通に起こりますが、そんなことでいちいち争いあっていては身がもちません。

なので、信念対立解明アプローチでは世界観を徹底的に相対化することになります。

相対化は目的と状況を整理すると行えます。

目的と状況を整理できると、例えば、Aは目的Aと状況Aを前提にすると正しく感じるけど、目的Bと状況Aのもとでは間違っていると感じることがわかったりします。

あらゆる意味、価値は目的と状況によって決まるので、そこが整理できればできるほど「人生いろいろ」と理解しやすくなるのです。

信念対立解明アプローチでは、対立する世界観にであったら「あぁそういう捉え方もあるのね」「いろんな感じ方、考え方、やり方があるんだなぁ」「私には理解できないけど、そういうやり方があるということは認める」などのように多種多様な世界観の成立を承認するわけです。

これが信念対立を解消する最初のステップです。

メモ

相対可能性はより専門的にいうと解明条件1、解明条件2があって、技法としては解明態度壱号・弐号、解明術壱号・弐号が対応しています。本記事の後半で紹介する成書でご確認ください。

連携可能性の担保

次に、「人それぞれ違う」という感度を前提にしつつ、コラボレーションできるところはそうしましょう、というステップへと進みます。

上述したように、信念対立を克服するためには「千差万別」という理解が欠かせません。

でも「千差万別」という理解でとどまっていると、善悪の判断ができなくなって何でもアリの懐疑主義から抜けられなくなります。

そうなると、実践は何もできなくなります。

なので、信念対立解明アプローチでは人々が世界観の多様性を尊重しつつ、その違いを越えて協働するための条件を作っていくことになります。

その条件とは目的と状況の共有です。

つまり、信念対立解明アプローチではコラボするために情報を共有したうえで、共通目標を設定し、その達成に向けてあれこれ頑張るわけです。

これが、信念対立を解消する次のステップです。

メモ

連携可能性はより専門的にいうと解明条件3がマッチしておりまして、技法としては解明態度参号、解明術参号が対応しています。本記事の後半で紹介する成書でご確認ください。

実践の原理

相対可能性と連携可能性を基礎づけているのが「実践の原理」です。

これは、さまざまな実践場面で信念対立が生じたときに交通整理する考え方でして、簡単に言えば「あらゆる実践は目的と状況によって規定されるものの、その有効性は事後的に決まる」というものになります。

例えば、クライアントの意向を尊重すべきか、専門家としての判断を重視すべきか、という信念対立が生じたとしましょう。

実践の原理では、目的と状況からしっかりと考え直して、どっちが優先なのか、あるいは両方ともそこそこ使う必要があるのかを暫定的に決めることになります。

で、実際にどういうやり方が良かったのかは、後になってからよく振り返って判断していくのです。

このフレームで考えると、クライアントの意向を尊重すべきか、専門家としての判断を重視すべきかで信念対立が生じたとしても、不毛な争いにとどまることなくよりベターなやり方を模索しながら進めやすくなります。

感情調整

また、研究が進むにつれて、信念対立が心理的問題を引き起こすことが明確になっていきました。

なので、ここ数年は信念対立解明アプローチに感情調整技能を組みこむ議論が行われています。

信念対立解明アプローチは目的と状況に応じて有益な方法を組みこむという理論構造なので、信念対立に心理的問題がともなうならばそれに対応するために柔軟にいろんな方法を取りいれることができます。

信念対立解明アプローチに取りいれている主な感情調整技能は

主な感情調整技能

  • マインドフルネス
  • ポジティブ感情
  • 有酸素運動
  • スルーする(反応しない)

などです。

これらを取りいれている理由は、さまざまな先行研究で感情コントロールに効果を持つことが明らかになっているからです。

問題に応じて柔軟にいろんな方法を取りいれることができるのも、次に述べる信念対立解明アプローチのメリットのひとつです。

信念対立解明アプローチのメリットとデメリット

信念対立解明アプローチのメリット

信念対立解明アプローチの主なメリット

  • 信念対立の予防・低減に特化している
  • シンプルである
  • 汎用性が高い
  • 拡張性が高い    など

メリット1:信念対立に予防・低減に特化している

信念対立解明アプローチのほかにも、信念対立の克服を目指すものに現象学、構造構成主義、プラグマティズムなどがあります。

信念対立解明アプローチはこれらの哲学を発展的に継承していますので、理路の構造は同型のところもあります。

他方、これらは哲学なので具体的な技法を実装しているわけではありません。

その点、信念対立解明アプローチは哲学から技法まで構造化しているので、より使いやすいものになっていると考えています。

メリット2:シンプルである

信念対立解明アプローチは信念対立で辛いときや、それが予見されるときに使用します。

なので、開発段階から可能な限りシンプルな理論構造にしようと決めていました。

しんどいときに複雑なモデルを扱えないと考えていたからです。

その狙いはたぶん上手くいっているので、わりと扱いやすいのではないかと思います。

メリット3:汎用性が高い

信念対立は人間と社会があればどこでも生じる問題です。

そのため、信念対立解明アプローチは領域横断的に使えるように設計しています。

実際、信念対立解明アプローチは医学、看護学、薬学、作業療法学、理学療法医学などなどさまざまな医療保健福祉領域で使われていますし、それ以外にも教育、機械学習などの領域でも研究されています。

こうしたことから、信念対立解明アプローチは多機能に使える性質を備えた理論だと言えるでしょう。

メリット4:拡張性が高い

また、信念対立解明アプローチは当初から未知の問題にも対応できるように設計しています。

信念対立解明アプローチは、目的と状況に応じて柔軟にアプローチできるようにするために、いまは実装されていない理論や技法でも必要に応じて実際に取りつけることができる理論構造にしています。

それを支えているのが実践の原理という装置です。

目的と状況に応じて信念対立解明アプローチを拡張していただけたらと思います。

信念対立解明アプローチのデメリット

信念対立解明アプローチのデメリットは研究で明らかになっているわけではないですが、これまでの経験からして大きくは3つあるだろうと思っています。

信念対立解明アプローチの主なデメリット

  • 実践者に依存している
  • 地道な働きかけが必要である
  • サポート体制が不十分である    など

デメリット1:実践者に依存している

これは、あらゆる実践モデルに当てはまる問題ですが、やはり信念対立解明アプローチの機能を引き出せるかどうかは実践者の能力に頼っています。

特に、メタ的な視点に立てるかどうかは、信念対立解明アプローチの成否に関わるので、それができない人は使いにくいかもしれません。

ただこれは、信念対立解明アプローチに限った話ではないんですけどね。

デメリット2:地道な働きかけが必要である

これも信念対立解明アプローチ特有のデメリットではないんですが、繰り返し実践する必要があります。

軽い信念対立なら1回のアプローチですっと解消できることがあります。

けど、重い信念対立になると繰り返しアプローチしないとしんどい状態がスッキリなくなることはないです。

現状、行ったり来たりしながら徐々に信念対立を低減していくしかないかと。

デメリット3:サポート体制が不十分である

もう一つのデメリットは、信念対立解明アプローチを使う人を支援する体制が不十分というものです。

現状、論文や本を読んで各自で実践するしかなく、レギュラーな研修などはありません。

この問題を解決するために、現在、スマートフォン、タブレット、パソコンで信念対立解明アプローチの専門家から支援を受けられるシステムを開発中です。

が、実運用にはもう少し時間がかかりそうです。

信念対立解明アプローチでよくある質問

信念対立解明アプローチをはじめるにあたって、よくある質問は以下の通りです。

よくある質問

  • その①:自分しかこの理論を知っている人がいない場合でも使えるか
  • その②:自分よりも立場が上の人が相手でも使えるか
  • その③:集団を相手にしても使えるのか

その①:自分しかこの理論を知っている人がいない場合でも使えるか

結論はその人次第ですけども、信念対立解明アプローチは開発当初から「孤立無援でも使える」ことを意図して設計しています。

例えば、職場に自分しか信念対立解明アプローチを知っている人がいない場合でも、トラブったときに「目的はどうなっているか?」「どういう状況だったのか?」を整理することはできます。

また、他者に自分の目的を伝えたり、情報を共有するために状況を教えることも可能です。

こんな感じで自分しか信念対立解明アプローチを知らなくても使えるでしょう。

その②:自分よりも立場が上の人が相手でも使えるか

これも結論は使う人次第のところもあるんですが、信念対立解明アプローチは立場が弱くても強くても、目的と状況に応じて使えるように設計しています。

例えば、自分よりも立場が上の人が相手の場合、「申し訳ないですが、きちんと理解したいので、目的を教えていただけますか?」と確認することはできるでしょう。

また、部下は上司に報告するという大義名分があるので、状況や目的を伝えることができるはずです。

このように、自分よりも立場が上の人と信念対立しても適用できるはずです。

その③:集団を相手にしても使えるのか

もちろん使えますが、使う人次第という側面もあります。

後で書籍を紹介しますが、信念対立解明アプローチは多職種連携のマネジメントでたびたび活用されています。

これはつまり、信念対立解明アプローチが個人だけでなく、集団に対しても適用できることを意味しています。

信念対立解明アプローチをはじめる手順

信念対立解明アプローチをはじめるのは簡単です。

信念対立解明アプローチのはじめ方

  • その①:本を読む
  • その②:実際にやってみる
  • その③:実際にやったら内省する

たったこれだけ。

その①:本を読む

信念対立解明アプローチは成書が3冊あります。

必読書は以下の本でして、哲学から技法まで体系的に詳述しています。

これをかっちり読み込めば、ぼくの講演や研修を受けなくてもぜんぜん大丈夫です。

上記の本は「ちょっと難解」 という人は以下の2冊をお読みください。

信念対立解明アプローチの理論的側面をわかりやすく解説していますし、実践でよく遭遇する疑問に関するQ&Aをたくさん収録しています。

その②:実際にやってみる

本を読んでイメージをつかめたら、わりと軽めの身近な信念対立から実際に適用していくとよいです。

例えば、デートの行き先で意見が食いちがったときに使ってみるとか、晩ごはんはカレーにするかラーメンにするかで対立したときなど、ライトな問題でとりあえず試してみて、何となく感触をつかむとよいです。

そのうえで、職場や地域で生じているわりと重めの信念対立で使ってみてください。

一度使ったぐらいでは上手くいかないかもなので、目的と状況を見定めながら繰り返し使っていくとよいです。

その③:実際にやったら内省する

やりっぱなしだと何事も成長しません。

なので、実際にやってみたら「このやり方でよかったか?」「他にもっと改善すべきことはないか?」などとよく振り返って考えてください。

で、ちょっとずつ実践に改善を加えていき、よりうまく実行できるようにしていきましょう。

これも繰り返しやる必要がありまして、しんどい状態から脱するために地道にやっていただけたらと思います。

まとめ

本記事では「信念対立解明アプローチってどのような理論ですか?」という疑問に解答しました。

信念対立解明アプローチは現在も研究開発中でして、さらに使い勝手のよい理論に育てていきたいと考えています。

関心のある人はぜひお試しください!

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