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【事実】作業療法士が大学教員になるには【教員が語る】

京極真
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本記事では「作業療法士です。将来的に大学教員になりたいです。大学で働くにはどうしたらいいですか?」という疑問にお答えします

本記事の内容
  • 大学教員になるために重要な要因がわかる
  • 大学教員になるために自分でできる努力のポイントがわかる

作業療法士のための大学院進学についての記事を以下にまとめています。大学院進学を考えている人は参考にどうぞ!

大学教員になるためにもっとも重要な要因は「運」

結論を言うと最重要課題は「」です。

身も蓋もないですが、本当にそう思います。

大学の公募はJREC-INで調べることができます。

例えば、「作業療法」で教授の公募がでたとします。

自身の専門とうまくフィットしたとして、年齢が20代でしたら国際的に一桁以上突き抜けた研究業績がないとたぶん無理です(あっても無理かも)。

教授職は〇歳以上という内規があるところもあるし、主な業務として学科・学部の運営やある程度の学内政治を期待されていることもあって、公募する側が期待することと公募にエントリーする側の条件があわないことも少なくないからです。

しかも、大学教員になりたい人が多いわりに、受け入れる可能なポストが驚くほど少ないんです。

就活中の大学院生はほとんど毎日JREC-INをチェックしていますが、自分がもつ諸条件に合致する公募にであうことなく時間だけが過ぎていることもふつーにあります。

自分が備える諸条件と公募の内容がうまくあうかどうかは「運」次第です。

かりに、いま公募がでているところに、ぼくがエントリーしても落ちる可能性大でして、それぐらい「運」は重要です。

なので、大学教員を目指している作業療法士は自らの努力ではどうしようもない要因によって未来が決まりかねないと理解しておくとよいです。

大学教員になるために自分で努力できること

とはいえ、大学教員になるために自分で努力できることもあります。

運はどうしようもないので、これから大学教員になりたい人は自分で努力できることに集中しましょう。

そのための大きなポイントは以下の通りです。

  • その①:博士号は必ず取る
  • その②:研究業績を増やす
  • その③:教育歴も増やす
  • その④:ネット上で研究業績リストなどを公開する
  • その⑤:人脈を作る

その①:博士号は必ず取る

これから大学教員になりたい作業療法士は博士号を必ずとりましょう。

これは最低限の条件だと思っておけばよいです。

なかには幸運にも修士号のみで大学教員になれた人もいますが、そうした場合は多くの方が博士号取得に向けて日々研鑽を積まれてます(運も実力のうちなので、恥じることは何もないです)。

ただし、博士号をとったからといって、大学へ就職できる保証はまったくありません。

だけども、それがないと就職のハードルは高まるばかりです。

なので、大学教員を目指している人は博士号の取得を目指しましょう。

その②:研究業績を増やす

次に、研究業績はどんどん増やすべしです。

できればインパクトファクターのついた国際誌に英語論文を載せてください。

レベルの高い大学は公募でインパクトファクターもチェックします。

同じぐらいの論文数ならインパクトファクターが多い人を採用する可能性ありです。

また可能ならば、大学院で行う研究に加えて、共同研究でもいいから売れる研究テーマでも研究してください。

大学院で行う研究は新規性を追求するためにニッチなところを攻めがちです。

それがそのまま大学教員の就職のハードルを下げることにつながると期待しにくいことがあります。

なので、間口を広げるために売れるテーマでも研究する必要があります。

売れる研究テーマは「どういう研究をやっている人が多く求められているか」という観点からJREC-INを眺めているとだいたいわかります。

その③:教育歴も増やす

また、これから大学教員を目指す人は教育歴もあった方がいいです。

JREC-INを見るとわかるように、応募条件に「大学で教育経験があること」と記載しているところが少なくありません。

大学はちゃんと教育できる人材を求めているので、そういう条件がつくわけです。

なので、これから大学教員になりたい作業療法士は、指導教員や知りあいの大学教員に頼んで大学院在学中に大学で非常勤講師として働く機会を作ってもらったり、TA(Teaching Assistant)、RA(Research Assistant)で入らせてもらって大学で教育する経験を積むとよいです。

大学での教育歴があった方がかなり有利です。

ただし、専門学校で専任講師や非常勤講師を行っても、教育歴にカウントされませんのでご注意ください。

専門学校でも優れた教育を行う先生はいますし、それはぼくもよく理解しています(ぼくもかつては専門学校教員でした)。

が、大学への就職を考えると仕組み上そうなっているとクールに理解すべしです。

その④:ネット上で研究業績リストなどを公開する

研究業績や教育歴を増やすと同時に、それをホームページやブログなどで公開すべしです。

いまの時代、大学教員の公募を行うときは、インターネットで良い人がいないかどうかを調べるものです。

そして、良さそうな人が見つかったら声をかけて公募にエントリーしてもらうように依頼します。

これは「コネ」公募でも何でもなくて、ちょっとでも良い人を採用するための戦略です。

というのも、公募を出したのに変な人しかこなかったら、困るのは大学側です。

そういう事態を回避するために、良さそうな人に声をかけて公募にエントリーしてもらうのです。

「運」を引き寄せるためには、公募する側に知ってもらうことが大切なので、自身の研究業績や教育歴をインターネット上で公開しておくとよいのです。

インターネット上で情報を公開するときは、SEO(Search Engine Optimization)対策するようにしてください。

インターネットには山のように情報がありまして、普通に公開するだけではGoogle検索の上位に表示されず、公募する側があなたを発見できないからです。

またTwitterなどのSNSで日頃から情報発信することも役立つでしょう。

あっ、情報公開は研究業績や教育歴があってこそ意味をもつので、Twitterなどにはまりすぎて研究や教育がおろそかにならないようにしましょうね。

その⑤:人脈を作る

最後に、大学教員になるためには人脈を作っておく必要があります。

上述したように、公募する側は少しでも良い人を採用したいので、公募を出すときには良さそうな人がいないかどうかを調べます。

これは、コネ公募とかそういうのではなく、公募はガチンコでやるものの、少しでも良い人の中から優れた人を採用できる確率を高めるために普通にやる工夫です。

その際、大学教員の人脈に引っかかる人から候補になりやすいのも事実です。

なので、これから大学教員になりたい作業療法士は人脈を作るようにしておきましょう。

人脈づくりに役立つのは学会です。

学会で議論したり、話したり、懇親会で打ち解けたりして、「この人は良さそうだなぁ」という印象をもってもらいましょう。

それがきっかけになって、公募するときに名前がでるかもしれません。

大学教員の公募最前線では、見えないところでさまざまな情報戦が繰り広げられることも多いです。

その際、公募するときに名前がでたことによって、他の候補者が尻込みして辞退することによって、もしかしたら運を引き寄せやすくなるかもしれません。

大学は冬の時代

これほど努力しても、無事に大学教員になれても、悲しいことに大学は冬の時代です。

日本はひどい少子高齢化のうえに、大学進学率もわりと低めです。

なので、就職した大学が数年後につぶれているリスクも十分あります。

これから大学教員になりたい作業療法士は、いつ職場がなくなってもよいように、個人の実力を高めてサバイバルできるように準備しておきましょう(もちろん、これはぼくも例外なく当てはまる問題です)。

めっちゃ売れている「死ぬこと以外かすり傷」という書籍が、サバイバルの参考になると思いますので、これから大学教員になりたい人は読んでおきましょう。

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まとめ:作業療法士が大学教員になるには

京極真
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本記事では「作業療法士です。将来的に大学教員になりたいです。大学で働くにはどうしたらいいですか?」という疑問にお答えしました

結論をいえば、ポイントは以下の通りです。

  • その①:博士号は必ず取る
  • その②:研究業績を増やす
  • その③:教育歴も増やす
  • その④:ネット上で研究業績リストなどを公開する
  • その⑤:人脈を作る

著者紹介
京極 真
1976年大阪府生まれ。Ph.D、OT。Thriver Project代表。吉備国際大学ならびに同大学大学院・教授。作業療法学科長、保健科学研究科長、(通信制)保健科学研究科長。首都大学東京大学院人間健康科学研究科博士後期課程・終了。『医療関係者のための信念対立解明アプローチ』『作業療法リーズニングの教科書』『作業で創るエビデンス』など著書・論文多数。
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